夢か現か 02 ページ26
シャキ、シャキとハサミが進められて行く。アオリちゃんはたまにちょっと上むいて、とか横向いて、とか言うだけで、それ以外は無言だ
早く終わんないかなー、なんて考えてると、私が待っていた言葉をかけられる
「はい、終わり！うわあ、その髪型も似合うよ！」
私の二本の触腕は、胸元辺りで綺麗に切り揃えられていた
ブンブンと両手を振り回して、私の頭を前後左右とくるくる回りながら確認するアオリちゃん
「ありがとうアオリちゃん………カット上手いね」
「エッヘン！またいつでも任せなさい！」
「お、アオリちゃんやっと見つけた。ん、Aちゃん、髪型いいじゃん」
「ありがとうホタルちゃん。アオリちゃんに切ってもらったんだ」
「でしょ！じゃあアタシたちこれから収録だからまたね！」
「あと5分しかないよ。早くしないとアタシまで大目玉くらうんやからね」
「わっ、ごめんホタルちゃん！じゃあね！」
「またね〜」
「またね、ありがとー」
忙しいのに申し訳ないなあ。
私は少しの罪悪感と、軽くなった頭を揺らして、アーミーくんに電話をかける
『…もしもし、Aか？』
「朝早くにごめん、寝てた？」
『いや、もうそろそろ起床の時間だった。ちょうどいい。ところで、ラスのことだが…』
「あ、その話しようとしてたんだ。………どうなった？」
『………ラスは入院した』
話を聞くと、あの後もう一発麻酔を打ち込まれたラスはやっとのことで気絶し、アーミーくんが名を伏せて警察に連絡してくれていたらしく、連れていかれたラスは過去に窃盗の場面を防犯カメラに捉えられていたので逮捕になるらしい。
しかし、ここからが問題だ
『ワガハイが病院の内部の情報を調べたのだが……どうやらラスは''記憶障害''により、今まで出来事や、出会った人物などをほぼ全て忘れている。可能なのは簡単な会話のみ、とだけ分かった』
「記憶障害？」
『ああ、病院側では理由は分かっていないが……おそらく、スロットを身体に開けたことによる副作用だな』
「………そっか」
こんな終わり方で、良かったと思う。
あいつの殺人現場は私以外、誰も見ていないわけだし、見ていてもきっと殺されている。
ラスはそうなって当然なのだ。もう私が彼を忘れれば、彼は誰からも忘れられ、彼の記憶にも誰もいない
つきり、と小さな痛みが腹部を走る
『…………どうする？』
電話越しにそう聞かれる
「お昼頃、一緒に来てくれない？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あべさん(プロフ) - ありがとうございます(´；ω；｀)！ (2017年7月5日 20時) (
レス) id: f974a3e7c6 (このIDを非表示/違反報告)
おみ - 続編...！ありがとうございます！！(。´Д⊂) (2017年7月5日 18時) (レス) id: 9aaa9f3c1a (このIDを非表示/違反報告)
あべさん(プロフ) - わんはーとさん» ありがとうございます(´；ω；｀)あいかわらずの下手くそ文章ですが、どうか完結までお付き合いください…！ (2017年7月5日 0時) (レス) id: f0c55ba8ac (このIDを非表示/違反報告)
わんはーと(プロフ) - わーい！続編だー！楽しみしてました！！じっくり読ませていただきますね！(*^^*) (2017年7月5日 0時) (レス) id: 245da36182 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あべさん | 作成日時：2017年7月4日 22時
