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それは容姿を見れば分かる。
マフィア構成員の時の哀川Aは、染めていない茶色の髪をしていて、目は日本人特有の茶色の目をしていた。
だが俺が拾った時のAは、
髪は真っ黒で、目は血のような真っ赤な瞳。
何かを見透かしているかのようで恐れた。
そしてあの時、唇の端が血で濡れていた。
聞けばAは、幼い頃に実両親を亡くし、親戚の元をいくつもさまよっては手酷く扱われたと言う。
俺に拾われるよりも前に、こいつは歪んだ場所で生きてきた。
それがどうも、マフィア構成員の哀川Aとは結びつかなかった。
死を恐れ、仲間思いだったマフィア構成員と
死よりも走ることを大切にするレーサー。
どう考えても同一人物とは思えない。
俺はAを甘やかすつもりはない。
職業を言うつもりもない。
だが俺が育てると決めた。
理由は俺にでもわからない。
ただAを太宰と会わせてはまずい。
絶対に太宰と会わせてはいけない。
歪んでいる関係でも構わない。Aがこれ以上不幸だらけの人生に飛び込まなければ
なんでもいいと思った。
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作者名:AiRA | 作成日時:2018年3月22日 16時