太宰治の元部下 (ページ14)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:10,337 hit

１４ページ14

彼女の異能力だ。

Aの異能力は、空気と時間を操る。

だったら〝空間〟を操ることだって可能ではないか。

私がいた時はそんなこと出来なかったけど、私が姿を消した２年で習得したとも考えられる。

そしてその嫌な予感は当たってしまい、８丁の銃がAの頭を囲むように空中に浮いている。

銃口は全て、Aの頭に向けられていた。

私は咄嗟のことに反応出来なかった。

この子が私の前で死のうとしている？

織田作がそうだったように。

そんなことさせてたまるか。

あの時と同じ光景なんて見たくない。

Aが左手の人差し指をくいっと曲げれば全ての銃の引き金が動く。

助けは間に合わず、銃声が響き渡った。

バァンッ！！

だが、敦君の虎化した腕がAの頭を守っていた。

そして虎化した腕のまま、敦君はAの肩をガシッと掴んだ。

敦『何をしてるんですか！自ら命を捨てるなんて！！』

貴女『……！？』

Aも何が起こったのか分かっていなかった。

貴女(確実に引き金を引いたはずなのに……)

敦『こんなことしたらダメですよ！！』

貴女『っ、わかった……とりあえず離せ……！お前の腕、痛い……！』

敦『あ、すす、すみません！』

虎化の腕が離れる。

Aはベッドの上で首元に手を当てて、荒れる呼吸をなんとか落ち着かせようとしていた。