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最後に見た芥川君の表情は、
柔らかく笑っていた。
全てが終わったように。でも後悔は
していないように。
走ってきた時には間に合わなくて、
いつもの黒外套は羽織っていない、
白いフリルシャツに身を包んだ芥川君がいて、
最後もそうだ。
彼は笑っていた。
白い羅生門を翼の形に変えて、
この廃屋から飛び降りた。
天使のように美しく、たくさんの血を吸い
汚れた黒外套を残して────。
バタバタバタバタ!!!
貴女『!!』
太宰『細かいところまで調べろ』
貴女『…………お、治……』
太宰『A、大丈夫かい?一体何が……』
貴女『こ、これ…………』
私は彼がいつも着ていた黒外套を
治に渡した。
太宰『っ…………!!』
治にしてはらしくない表情。
奥歯をギリリと鳴らし、悔しそうに
その場から立ち去っていった。
貴女『っ……、芥川君……!』
どうして置いていったの────?
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作者名:AiRA | 作成日時:2018年1月18日 21時