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貴女『あの時は衝動で……鉄骨受けたら死ぬから、誰だろうと助けると思う……!けど!!あそこにいたのがあなただったから!!』
太宰『………………』
貴女『またあの時みたいに何も出来ずに誰かが死んでいくのが嫌だった…………お兄ちゃんまで消えて1人になるのが嫌だったの!!!』
太宰『…………!!』
あ、やばい…………幹部相手に、私────
貴女『ご…………ごめんなさ……い……』
冷静になっても時すでに遅し。
太宰幹部がこちらへ歩いてきた。
やばい、これは殺される。
また殴られ────
ギュッ
太宰『…………今だけだよ』
貴女『…………!!』
殴られる痛みはなくて、罵声の苦しさもなくて、気づけば腕を引かれて、太宰幹部の腕の中にいた。
貴女『だ、太宰幹部……』
太宰『太宰幹部じゃないでしょ』
貴女『…………お、お兄ちゃん……?』
するとお兄ちゃんは、私の頭を撫でてくれた。
普段では考えられない、優しい手つきだった。
その時、ずっと耐えてきた、ずっと堪えてきた全てが溢れ出て、私は幼い子供のように声を上げて泣いた。
ずっとお兄ちゃんの外套にしがみついてた。
お兄ちゃんは背中をさすってくれた。
ずっと色褪せてた兄との思い出が、鮮明に蘇ってきて…………あぁ、もうやだ。考えることも面倒だ。
お兄ちゃんはカッコいいから女性構成員にも人気がある。
また明日にでもなれば、いつも通りの関係に戻ってしまう。
なら、せめて今だけは────────
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作者名:AiRA | 作成日時:2018年3月28日 11時