拝啓色褪せた追憶 (ページ4)

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気づけば浜辺に歩を進めていた。

小さい頃によく来たな。〝兄〟と────。

今の兄にとって、私は邪魔者でしかない。

異能力は醜い。女としての魅力もない。
組織から反感をくらう。
黒服と仲が良い。
任務で使い物にすらならない。
ただの最下級構成員。

猫『ニャー』

貴女『……？』

猫『ニャー』

貴女『…………お前も１人？』

猫『…………ゴロゴロ……』

貴女『…………私も１人だよ。何年前から１人なのかは、忘れたけどね』

猫を撫でながら、海を見ていた。

ほっとすることはなかったが、少しすっきりする気分にはなれた。

私は猫を撫でていた手を止める。

貴女『母猫はどうしたの？』

猫『…………ニャー……』

貴女『家族は大切にしなよ。あんたと私は、いつでも会える』

そう言うと、猫はその場から立ち去っていった。

なんだか言葉が通じたみたいで嬉しかった。

そして私は、電話をかける。

貴女『…………フランケン、ちょっと海まで来てくれる？』