2 ページ3
・
「はぁ......」
何度目か分からない溜息を零す。
理由は簡単。書類が終わらない。かれこれ5時間ほど休憩を入れながら書類作業をやっているが、一向に終わらないのだ。
気分転換に外にでも出るか...
思い立ったらすぐ行動。僕は机の下においてあった鞄の中に財布、スマホ、仕事用のパソコンを入れて自分の執務室を出た。
「お疲れ様です」
「古川さん!お疲れ様です」
見張りの黒服の方たちに挨拶をしながら黒光りするとてつもなく高いマフィアのビルから出る。
一応中也さんに連絡も入れておく。
中也さんは今は任務中だっけな。確かマフィアの情報を横流しした傘下の団体の粛清だったような。
そう考えているうちにお気に入りの喫茶店についた。ここは1番初めに中也さんが連れてきてくれた喫茶店だ。一応マフィアの傘下に入っているので心行くまでお店にいることが出来る。
「いらっしゃいませ。あら、古川様じゃないですか。お久しぶりです」
「お久しぶりです。マスター。3ヶ月ぶりでしょうか。」
ここのマスターとは結構長い付き合いだ。まあ中也さんが連れてきてくれたという理由が1番だが。
暫く雑談したところで珈琲を頼む。勿論角砂糖を沢山つけてもらうのを忘れずに。
珈琲が来る間に鞄から仕事用のパソコンを取り出し、再び作業に入る。内容は、この間中也さんが僕との共同任務で粉砕した団体の情報。
無数にある情報の中からマフィアに有益なのを探しだし、それをまとめるというなんとも気力がいる作業だ。今すぐ辞めてしまいたい。
溜息をつきながら憂鬱な気持ちに浸っていると、後ろから声が聞こえた。
「おや、A君じゃないか。奇遇だねぇ」
「......太宰さん。僕、今はあなたに会いたくなかったかもです」
「酷い!」
太宰治。マフィアの裏切り者で、中也さんの元相棒。この人がマフィアにいる間、僕は何度嫉妬したか分からない。
「中也との進展はどうだい?変わりなし?」
「進展もクソもないですよ。僕はもう諦めてます。」
太宰さんは僕が中也さんに好意を向けていることを知っている唯一の人間であった。太宰さんが中也さんに嫌がらせをする度、僕に嫉妬心を向けられるのに気付き、問い詰めてきたのだ。
熱い珈琲をグビっと飲み干し、財布を出す。
「それでは太宰さん、僕はこれで失礼します。」
「残念だな。またね〜」
レジに行き、ササッと会計をして、僕は複雑な気持ちを抱えながら喫茶店を後にした。
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
I am水 - こういう男主と中也さんの掛け合い大っっっ好きです…ありがとうございます… (8月11日 14時) (レス) @page7 id: f9c19b65bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かっこんとう。 | 作成日時:2023年1月15日 17時