6:着信 ページ8
*
北信介よろしゅう
Aよろしく!
あれから一週間が経った。
俺はいつも通りの生活をしている。Aからは音沙汰無し。
引っ越してからの手続きは忙しいからな。
今日は後輩の店に行く。軽トラには店に納品する米を積み上げ、助手席には、ばあちゃんの漬物が入ったタッパを置いた。
Aにも、そのうち後輩を紹介したろかなと思う。
運転席に乗り込み、エンジンをかけたところで、ポケットに入れていたスマホのバイブが鳴った。
仕事の時間やし、内容は後で見ることにした。
「北さん!お疲れ様です」
「お疲れさん。数確認しよか」
「うぃっす」
後輩かつ"おにぎり宮"の店主である治と、納品する米の数と発注数が合っているか確認をする。
数に相違なしとわかれば、治は俺に頭を下げ、店の中に米を運び始めた。
俺も手伝おうと米を2袋、両腕に抱え店に入ると、店の奥から、治の片割れの侑が欠伸をしながら出てきた。
「くぁ…………サムー、今何時…………て、北さん!?!、!!?!!?!」
「昼の12時や。ぐっすり寝とったんやな。夜更かしでもしたんか?」
「いや!!!そんなことは!!!」
「ゲームしとったやろが」
「サム!!!!!!」
慌てふためく侑の顔がおもろなって笑みをこぼすと、侑は参ったというように静かになった。
納品が終わり、ばあちゃんの漬物を治と侑が喜んで食べている頃、俺のスマホには着信が来た。
Aから。
席を外し、店の外で電話に出る。
「もしもし」
《信ちゃん?LINEしたんだけど返信ないから電話したの。今忙しい?》
「仕事に出とる。急用やったらすぐ戻るけど、何の用なん」
《お仕事か!それはごめん!急いでないけど、鹿が獲れたからおすそわけしようかなって》
鹿が獲れた。
その言葉は、きっと、Aが自分のやりたいことを実現していることを指しているんやと思った。
なんとなく嬉しさがこみあげ、仕事が終わったら会うことを約束した。
「…………北さんが女の人と喋っとる……!」
「お前、北さんのこと何やと思っとんねん」
*
111人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
一二三(プロフ) - 月花さん» 切ないの、好物でして……(´∀`) コメントありがとうございます、今後ともよろしくお願いします! (2021年10月1日 8時) (レス) id: 828f66f0f0 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - なんかいろいろ切ないですね……By恋愛未経験者 (2021年9月27日 6時) (レス) @page39 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:一二三 | 作成日時:2021年7月19日 16時