27:前進 ページ31
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信ちゃんの言葉を聞いて思ったことは、やっぱり人をよく見てるな、だった。誤魔化したって言い逃れなんて出来やしないだろう。
リズムよく脈を打つ心臓と裏腹の感想に、内心悪態をついた。
『うん、聞こえちゃった。聞くつもりはなかったんだけどね』
「わかっとる。悩ませてしもたな、すまん」
『ふふ、信ちゃん、今日謝ってばっかり』
「……ほんまやなぁ」
私が笑ってみせると、信ちゃんもそれを真似するようして笑った。核心に触れないよう、言葉を選んでるのはどっちなんだろう。
沈黙が耳元で騒ぐ。
夜になると勝手に点灯する玄関ライトが私と信ちゃんの影を伸ばして、ああ、もうこんな時間かと考えさせる。
沈黙を破ったのは信ちゃんだった。
「無理に考える必要あらへん。……少なくとも俺はそう思う。せやけど、もし治に会うことがあったら、今日みたいな態度取らんように気ぃつけなあかんよ」
子供の頃の刺さるような言い方ではなく、まるで穏やかな声の表情。
私たちは大人になったんだということを痛感した。
夕飯を済ませて、自分の部屋に籠った。
硬いベッドの上にうつ伏せになり、枕に顔を押し付ける。頭を冷やしたい時や気分を落ち着かせたい時、こうする癖がついたのは、紛れもなくその要因になる奴がいるからだ。
『そろそろ本当に、やめないと……』
決して過去の恋愛を引きずっているわけではないけれど、気持ちを切り替えるようにして枕から顔を上げた。
スマートフォンを手に取り、メッセージ履歴の中から1人を選んでタップすると、だらだらと電話をした履歴が残っている。
ここに書いてある時間の分だけ、話してきた。でも、今後私が積み重ねていくのは、そいつとの記録じゃない。
『そうでしょ、鉄朗』
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一二三(プロフ) - 月花さん» 切ないの、好物でして……(´∀`) コメントありがとうございます、今後ともよろしくお願いします！ (2021年10月1日 8時) (
レス) id: 828f66f0f0 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - なんかいろいろ切ないですね……By恋愛未経験者 (2021年9月27日 6時) (レス) @page39 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一二三 | 作成日時：2021年7月19日 16時
