【HQ】よもやま話【北信介】

14:変化 ページ17

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あの鹿肉パーティーの日から、治くんはよくウチに遊びに来るようになった。


遊びにとは言っても、彼も忙しい身なので、ちょっと顔を見せる程度なんだけど。

たまにオフの日の侑くんも一緒で、大体は信ちゃんの家に寄った帰りか、これから寄るのだと言う。

侑くんがいるときは、バレーボールの話を聞き、治くんだけのときは、猟の話を聞かせた。ご飯が大好きだという彼は、私の話をよく聞いてくれた。


寄ってくれる時の5回に1回くらいは、獲った動物の肉か、その肉を調理したものをおすそわけしたりした。

治くんはいつも美味しそうに食べてくれるから、渡し甲斐もあるというものだ。


それで、今日も顔を見せた治くんと侑くんは、これから信ちゃんのところに行くのだそう。


『──へぇ！お祭りがあるんだ！』

「おにぎり宮も屋台やるんで、よかったら来ません？」

『行きたい行きたい！楽しそう！』


信ちゃんのところにも、お祭りのお誘いで声をかけるんだって。

治くんのお店は、私や信ちゃんの家からは少し離れた場所にあり、その近くにある商店街で小さなお祭りをやるとのことだった。

……めっちゃ楽しそうじゃない！？


いや、9年間、お祭りに行ったことがないわけじゃない。ていうかここを離れる前にも何回か行ったことあるし。

でもお祭りって、賑やかな夜の雰囲気が好きだ。なんというか、自分の性に合っているというか。


「浴衣、持ってはります？俺、Aさんの浴衣姿見たいわぁ」

「おいツム、喋んなや。俺と話しとんねん。てかお前は来んなや」

「はぁ！？何やねんお前！！」

『まぁまぁ。浴衣ねぇ、確か2、3年前に買ってもらったやつをどっかに仕舞ったと思うんだよなぁ』

「ほんまですか。じゃあ……楽しみにしてます。また、日程とか連絡しますね」



そうして、侑くんと治くんは私の家を後にした。

浴衣、探さなきゃな。








「サム、俺が名前呼びしたからむくれとんのか？随分余裕あらへんなぁ」

「うっさいねん」





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