11:憂鬱 ページ13
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肉料理が豪快に盛り付けられていた皿は空っぽになり、それらを重ねて片付けていく。
隣では、テーブルの空いたスペースを信ちゃんが丁寧に拭いている。
ご飯を食べて談笑をして、鹿肉パーティーはあっという間に終わってしまった。夜も遅いので、母が車で治くんを送っている。
父と私は家に残り片付けをしようというところで、家が近いからと、信ちゃんもお手伝いを申し出てくれた。
分担して進めると、案外早く終わりそうだ。
『信ちゃん、私この最後の食器持ってお父さんの方手伝ってくるね。信ちゃんの方も終わったら声掛けに来て』
「わかった」
キッチンは、廊下を挟んで食卓の向かいにある。
父は手馴れた様子で食器を洗っていた。
『お父さん、これで最後だからこっち手伝うよ』
「おお、ありがとう」
父の隣に立ち、洗い終わった食器を拭いては仕舞っていると、どことなく父の表情が暗いように見えた。
口がもごもごしている。何か私に言いたいことがあるのだろうか。
気にしつつも私からは声をかけないでいると、最後の食器を洗い終わった父が、その顔だけ私に向けて口を開いた。
「A、お前は……あの2人のどちらかとお付き合いをしているのか？」
『……えっ？』
「その……友達を呼ぶとは聞いていたけど、まさか男の子を2人も連れてくるなんて思ってもいなくてな」
つまり父が聞きたかったのはそういうことだった。
父は昔から私のことを誰よりも可愛がってくれて、一人娘なのだからと大切に育ててくれた。
そんな娘が家でのプチパーティーに異性を2人も連れてきたのだ。そりゃあ、そんな父親の立場からしたら、そうなってしまうんだろう。
私は父を宥めるように伝えた。
『あの2人とは付き合ってないし、今はそういう人はいないよ。でも私も歳が歳だから、そういう人が出来たらちゃんとお父さんに言うからね！』
父は、そうか、と少しほっとしたような顔で笑った。
キッチンの入口付近で床の軋む音がしたことは、知らないフリをしておこう。
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一二三(プロフ) - 月花さん» 切ないの、好物でして……(´∀`) コメントありがとうございます、今後ともよろしくお願いします！ (2021年10月1日 8時) (
レス) id: 828f66f0f0 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - なんかいろいろ切ないですね……By恋愛未経験者 (2021年9月27日 6時) (レス) @page39 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一二三 | 作成日時：2021年7月19日 16時
