"典" 美味しい。 ページ10
「スーさん、ケーキが食べたい！」
「ん。」
友達のスーさんにケーキを作ってもらうことにした。
手先が器用だし、料理は上手だし。
ただ、人間付き合いは不器用だけどそんなところも可愛いと思う。
「スーさんって料理できるの凄いよね。私は女なのにできないから。」
えへ、と笑ってスーさんの方を見てみる。
「…できなくてもいんでね？」
「え、どうしてそう思うの？」
「…べつに。」
スーさんも変わってるな。
いや、悪い意味ではないよ。
それよりも私はケーキを食べるのが楽しみだ。
スーさんが作ったケーキなのだから、きっと美味しいに違いない。
ああ、早く食べたいな。
「ん。できたど。」
机の上に置かれたチョコレートケーキ。
上には大きな苺がたくさん乗っている。
「スーさん、ありがとう！！」
「それより早く食べ。」
「はーい、いただきます！」
チョコレートケーキを一口食べる。
とても美味しい。私はチョコレートが大好きだから、このケーキはいくらでも食べられる。
「あれ？スーさんは食べないの？」
「ん？あ、俺はいい。」
「そう？なら良いけど。」
ジーっと見つめられるから照れる。
スーさんイケメンだし。
「クリーム付いとんべ。」
「え？」
私の頬にクリームが付いていたようで、ティッシュで拭いてくれた。
なんと優しい。
「ありがとう、スーさん…。」
「ん。」
俯いてまたケーキを食べる。
「めんげぇ。」
その姿を、スーさんが笑って見ている。
そんな気がした。
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作者名：みずりんろーる | 作成日時：2017年4月11日 14時
