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"芬" 僕のせいだ。 ページ17

世界各地で戦争している真っ只中。



「…会いたい。」



「……誰にですか。」





Aさんがポツリともらした言葉。



答えは知っている、だけど知らないふりをして聞いてみた。





「スーさんに、会いたいです。」



「…そうですか。」






目の前には大きな湖。



その湖には悲しそうな僕の顔が映る。




自分でも、どうしてこんなに悲しい思いをしているのか分からない。



それよりもAさんの方が辛い思いをしてるはず。




「辛いですか、今。」



「…辛くないと言えば嘘になりますが、今はフィン様が居ますからそんなことありません。」



「…いいえ、本当は辛くて仕方がない。そうでしょう?」



「………。」




僕がそう訊ねると黙り込んでしまった。




「…ごめんなさい、フィン様。」



「え、どうして謝るのですか。」




Aさんはどうしてでしょう、と笑いながら言った。



そして頭を僕の肩に置く。





「スーさん…。」



愛しそうに彼の名前を何度も呼ぶ。



僕はそれを聞くことしか出来ない。




もう彼女を連れて何処か遠くまで逃げてしまおうか。



こんな戦争だらけの世界なんて嫌だ。




でも、そんなことをしてしまえば国民を見捨てることになってしまう。



国民も彼女も同じくらい好きだ。




「スー……さっ…。」



「……泣かないでください。」




とうとう涙を流してしまったA。



僕まで泣きそうになる。




もう、無理なんだ。



戦争はやめたくてもやめられない。




人が消えていくところなんて見たくもないのに。





「いつか、戦争が終われば……。」





『北欧の皆でオーロラでも見に行きましょう。』









その言葉は、何処からか飛んできた爆弾によってかき消された。

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作者名:みずりんろーる | 作成日時:2017年4月11日 14時

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