"氷" 狂ってる。 ページ16
最近、何処からか視線を感じて一人で帰るのが怖い。
気のせいだ、友達にはそう言われるけどきっと気のせいではない。
夜中に「好き。」だの「愛してる。」だのメッセージが来るし
電話もかかってくるし
ポストの中には何十通もの手紙が入っている。
一ヶ月に一回、決まってネックレスやブレスレットが贈られる。
これでも気のせいって思える？
もうこれ、ストーカー行為でしょ。
「…ってわけで、アイス君。どうすれば良いと思う？」
「知らないよ、そんなの。どうして僕に相談したわけ？」
ストーカーのことを、友達のアイス君に相談したら冷たく突き放された。
アイス君らしいよ。
「お願い、助けてよ！私このままじゃ怖くて生きていけない！」
「…じゃあ、一緒に帰る？そうすれば安心でしょ。」
「わぁ、さんきゅ！マジ愛してる！」
「……。」
たぶん今ので引かれたな。
ジョークだよジョーク。
「はぁ、今日は何ともなかったみたい。明日もよろしくね！」
今日は視線を感じたりしなかった。
メールも全然来ないし。
良かった良かった。
「…まだ気づかないんだ。」
「え？」
アイス君いきなりどうしたんだろう。
まだ気づかないって、何が。
くくく、とアイス君は笑った。
何が面白いんだろう。
「僕だよ？犯人は。」
「え？」
「君を見ていたのは僕だよ。メールも、電話も全部全部。」
え、っと？理解ができない。
どういうことよ。
「嫌っ！近づかないで！」
アイス君の胸をぐっと押す。
あんなに優しかった彼が、今では怖くて怖くて仕方がない。
「どうして？どうしてそんなに怯えるの？」
「嫌だ！！だ、誰か……ノーレ…！！」
「…やめてよ、ノーレなんて呼ばないで。」
彼の目に光なんて宿っていない。
ああ、もう無理だ。
いくら抵抗しても私は女。敵わないよ。
「…もう好きにして。」
キッと睨み付けた。
でもアイス君にとっては興奮させる材料に過ぎない。
「…A、ég elska þig」
これで良いんだ。
きっと。
アイス君も私も、狂ってる。
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作者名：みずりんろーる | 作成日時：2017年4月11日 14時
