"英" 美味しくない。 ページ15
「うぇ………。」
目の前に出された炭のようなものに、私は目を伏せる。
イギリスは私の様子を見て心配しているようだ。
それよりもあんたの神経の方がどうにかしてると思う。
そんな炭を料理と思えるのがすごいよ、私からしたら。
「ほら、食えよ!俺が作ったスコーンだぞ!」
「はっ?!」
これが?!これがスコーンなの?
ただの炭じゃない。
絶対におかしい、彼の頭の中。
何故こんなものがイギリスは食べられるのか、考えてみる。
もしかするとイギリスは味音痴かもしれない。
…ああ、なるほど。フランスが言っていたのはそういうことだったのか。
『イギリスの料理は凄いよ。だって真っ黒な…これ以上は言わない約束だったな、イギリス。』
最後は当の本人に見つかってボコられてたのは秘密。
「さあ、食え!」
イギリスが子供っぽい笑顔を浮かべて私の口に炭を近づける。
ああ、死ぬ。
焦げ臭い臭いが鼻をつんと刺激する。
ええい、この際もう食べてしまえ!
「じ、自分で食べるから…。」
「そうか。」
はい、と差し出されたお皿にはやまほどの炭が。
これを全部食べろと、神様は仰るのですか。
無理。死ぬ。
「いただきます…。」
ぽいと口に放り込み早く飲み込もうと炭を砕く。
味が……何と言うかもう言葉にできない不味さ。
「うっ……。」
「何だよ、そんなに青ざめて。もしかして俺の料理が美味しくてそんな顔してんのか?」
逆、その逆だ。美味しくない。吐き気がする。
「も、無理………。」
イギリスの生産した炭を飲み込むと、私はばたりと床に倒れた。
意識が遠退いていくなかでイギリスがこう言った。
「俺の料理が美味しくて気絶しただと!?」
美味しいわけない。こんな炭。
たまったもんじゃない。
イギリスめ、後でぼこぼこにしてやるから覚悟しとけ。
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作者名:みずりんろーる | 作成日時:2017年4月11日 14時