"羅" おまじない。 ページ14
「うわーん!!痛いよぉ……。」
道端でまだ5歳くらいの女の子だろうか。
小さい子が膝を押さえて泣いているので、話しかけてみた。
「どうしたの?」
「う…お膝、怪我しちゃったの…。」
やっぱりそうか。膝を押さえている時点で分かる。
「おいらならそんな怪我、簡単に治せるんだよー。」
そんなの嘘だけど、元気を出してほしいから。
「本当に?お兄ちゃんならできるの?」
「当たり前だよー。ほら、膝を見せて。」
「はい。」
女の子の膝を見ると、少し血が出ているくらいですぐ治る傷。
「よし、痛いの痛いの、あの大きな町(イギリスの家)に飛んで行けー!!」
よく聞く台詞を言って、膝にペタッと絆創膏を貼る。
これで元気になってくれるだろうか。
「…あれ?痛くない……。」
「それなら良かったよ。」
「お兄ちゃん、ありがとう!!」
女の子はピョンと立ち上がって、おいらの回りをぐるぐると回った。
可愛いなぁ、小さい子は。
「お兄ちゃんのおかげで痛いのなくなった!ありがとう!!」
バイバーイ、と手をブンブンと大きく振る女の子の姿が消えるまで、その背中を見続けた。
また、あの女の子に出逢う日が来るのだろうか。
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作者名:みずりんろーる | 作成日時:2017年4月11日 14時