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第二話 「私」の生き方 ページ2

生まれて数年、私は今「芥川龍之介」として生きている。

転生先は学生時代に知りハマっていた「文豪ストレイドッグス」の世界。

夢小説あるあるの転生からの成り代わりってやつだ。

「兄さん、お腹が……」

「芥川さん、俺も腹減りました」

 銀が生まれて間もなく、私たち姉妹はこの貧民街に捨てられ孤児たちと細々生きている。

今日を生きるのも必死な子どもの集まり、それが私の今の仲間だ。

「待っていろ、『僕』が何かとってくる」

 銀以外には私が女であることを伏せている。

こんな町で女子供が生きるのは、あまりにも苦痛が過ぎるのだ。

私は先日見かけた集団を襲い食糧を得ようと拠点を出た。

 赤ん坊の頃は突如転生したことに酷く混乱し、何度も思考を巡らせた。

ここが文ストの世界ならば、もしかすると姉妹で平穏に暮らせる術があるかもしれないと期待した。

しかしもし原作から大きく外れた結果、死 んでしまったら?

この世界はあまりに残酷で、そして漫画ではなく現実なのだ。

銀を置いて死 ぬことだけは避けたい。

結局臆病者の私が取った選択は「原作通り生きること」だった。

幸か不幸か前世の記憶は生まれてから死ぬまでの一瞬一瞬を記憶している。

故に漫画の一つ一つの表情や台詞を覚えているのだ。

転生特典というやつだろうか、おかげで忘れていたいことまで思い出した。

 しばらく裸足で歩いた先、小さな小屋が見えた。

中には屈強な男から、細身だが武器を所持する者もいた。

私は脳内で簡単なシュミレーションをして、小屋の陰に隠れ奇襲を仕掛けることに。

小石を一つ窓から小屋の中に投げ込み箱を利用してすかさず屋根に飛び乗る。

「あ?小石が窓から入ってきたぞ」

 全員の視線が窓に集中する。

「異能力【羅生門】」

 ボロのマフラーから黒獣が現れ屋根を食らう。

驚いて武器を構える男たちの頸を黒獣で刈り取る。

小さな体と鍛えてきた機動力を駆使して狭い小屋の中をあちらこちらと駆け回れば、奴らは流れ弾により自滅していく。

「ちょこまかとウザッてえ!どこ行きやがった!」

「後ろだ」

 スパっと乾いた音が一つする。

男の頸は既に何処ぞに飛んでしまい、躰はゆっくりと膝を折り崩れ落ちた。

 返り血を軽く拭きとって、小屋にあった台車にありったけの食料と生活用品を詰め込む。

台車を押して、足りない腕力は羅生門で補う。

「ただいま」

笑顔で迎えてくれた仲間が食料を貪る姿は、なんとも愛おしかった。

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設定タグ:文スト , 成り代わり , 転生   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:和菓子 | 作成日時:2019年9月20日 0時

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