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｢はあー｣
私、汐華Aはふかふかのベッドに横たわり、大きく息を吐く。
私をこの部屋まで案内してくれた女の子─シーラEさんは早々に退出してしまった。お礼、もっとちゃんと言いたかったのに。
やっぱり厄介者扱いされてるのかなあ。覚悟はしていたけれど、悲しいものは悲しい。
でも仕方ないよね。これまで存在も知らなかった妹が突然現れたんだもの。びっくりして当然。ジョルノ─双子の兄さんは何だかとっても偉い人みたいだし。
｢...おばあちゃん、おじいちゃん｣
どうして私を置いてきぼりにしちゃったの。ただでさえ私は、母さんに置いていかれた子なのに。
ああもうA、泣いちゃ駄目！しっかりなさい！
元気を出そうとポケットに忍ばせておいた定期入れを取り出し、挟んでいる写真を見つめる。
私の父さん。一度も会ったことのない、どんな人かも知らない、エジプトで死んだという人。父さんの金髪は兄さんとお揃いで、何だか私だけ仲間外れみたい。
...元気を出したかったのにまた悲しくなってきちゃった。
コン、コン。
｢きゃっ｣
突然のノックの音に飛び上がる。誰だろう、シーラEさん？あの握手をしたフーゴさん？それとも......
｢A、ぼくです。ジョルノです｣
今一番会いたくないような、会いたいような人だった。
｢兄さん、えっと｣
突然やってきた兄さん。おでこには大きなばんそうこう。怪我？
｢...A｣
｢はいっ｣
兄さんはとっても綺麗な人なので、ついつい緊張してしまう。同じパーツで出来てるはずなのに、どうしてこうも違うのかなあ。
｢手を｣
｢手、ですか？｣
きょとんとしながら手を差し出す。すると、兄さんは私の手をぎゅっと握りしめた。
...ひんやりした冷たい手。冷たい手の人は情熱的な人だって、昔おばあちゃんが言ってたっけ。兄さんもそうなのかな？
｢君は、ぼくが守ります｣
真っ直ぐな、私と同じ色の瞳。
簡潔で無駄のない短い言葉はすとん、と私の胸に届いた。
｢ありがとう兄さん...とっても嬉しい｣
失った家族、慣れない異国、通じない言葉。不安なことばかりだったけど、きっと大丈夫。
私には兄さんがいる。とっても綺麗で、冷たい手をした優しい兄さんが。
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あさはか金魚(プロフ) - 面白い！こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます！！ (2020年8月2日 10時) (
レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます！最初にコメントくれた方ですよね？ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります！ (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです！31話からもうわくわくでした！頑張って！ (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてなによりです！ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです！ (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます！作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伯 | 作成日時：2019年9月3日 4時
