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「まさかアイツに妹が居たなんてな……」


返してもらった定期入れをバスケットにしまっている間も、男の人はまじまじと私の顔を眺めていた。……何だか照れてしまう。


少し怖い雰囲気の人だけど、こうしてわざわざ落とし物を届けにきてくれたのだから悪い人じゃあないんだろう。そして、この人は兄さんとどういう関係なんだろうか?



「ちょっと隣いいか?」


「はい、どうぞ」


男の人は私の隣に腰掛けた。長い足をもてあますように組む姿がモデルのようにさまになっている。せ、せくすぃー……


「本当に良く似てやがるぜ……金髪に染めたら瓜二つになるんじゃあないか」


あの、顔が近いのだけど……。でも、大好きな兄さんと似ていると言われるのはちょっと嬉しいかも。二重の意味で顔が熱くなるのを感じる。



「あの、兄さんのこと知ってるんですか?」


「ああ。すました顔でとんでもないことをしやがる生意気な後輩だったぜ」


「兄さんの先輩なんですか!」


兄さんの先輩。そりゃあ兄さんにだって学校に通っていたことはあるだろうから、先輩が居るのは当たり前なんだけれど、何だか新鮮な響きだ。年上の人も涼しい顔で従えているイメージが強いからかな。


「私、少し前まで日本で暮らしていて。兄さんに会ったのは最近だから、私の知らない兄さんのことを知れるのは嬉しいです」


「そうなのか?意外と複雑な家庭環境だったんだな……まあこの世界じゃあ珍しい話でもねえが」
 

そういうと男の人はしばらく考えこむ。


「知りあいだと言ったが、実はそんなに長い付き合いって訳じゃあなくてな。逆にあんたから見たアイツはどんな奴だ?」


「そうですね、兄さんは──」




それからしばらく、私達はお互いが知る兄さんの話をした。




「──あの、兄さんとは長い間会ってないんですよね?良ければ一緒に会いに行きませんか?」

「遠慮しとくぜ。実際に会ったら憎まれ口しか叩けなそうだ。そうだアンタ、なんて名前だ?」

「A。汐華Aです」

そう名乗ると、男の人は私の頭にぽんと手を置いた。頭巾ごしでも分かる、男らしい大きな手。

「A、アンタに会えて良かったぜ。ジョルノの奴に伝えてくれや。『真実へと向かおうとする意思を受け継いでくれてありがとう』ってな」


男の人は晴れやかに笑うのが見えた。



「……あら?」


瞬きすると、辺りには誰も居なかった。あの男の人は?



「……名前、聞きそびれちゃった」

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あさはか金魚(プロフ) - 面白い!こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます!! (2020年8月2日 10時) (レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます!最初にコメントくれた方ですよね?ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります! (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです!31話からもうわくわくでした!頑張って! (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです! (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます!作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月3日 4時

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