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「ふう...」


もうこの世に居ない恩人に助けを乞うていると、祈りが通じたのかジョジョがゆっくりと顔を上げた。ありがとうブチャラティ。



散々叩きつけられたジョジョの額は赤くなり、僅かに血が滲んでいた。綺麗にセットされた前髪も崩れている。

手当てをしなくてはという天使と、全部見なかったことにして立ち去っちまえという悪魔がぼくの中でハルマゲドンを繰り広げる。


「...ジョジョ、痕になっては困ります」


激闘の末に天使が勝利し、まずは傷の具合を見ようと近寄ると──物凄い力で腕を掴まれた。


「ちょ、何をっ」


「......フーゴ」



感情を感じられない表情。額からだらりと垂れる血が凄惨さに拍車をかけている。


「あの子に触れましたね」


「ふ、触れたって...握手のことですか?」


腕を掴む力が強くなる。正解らしい。


触れたも何も、ただの握手じゃあないか。ハグやキスよりよほど軽いスキンシップ...いや挨拶だ。ジョジョだってミスタ相手に握手よりすごいことしてたのに。いやあれはナランチャの誤解か。



「ぼくはまだあの子に指一本触れていないのに...!!」


「指一本って、あなたも握手くらいはしたでしょ?」


「してませんよ!あの子の国では挨拶と言ったらお辞儀ですからね、ぼくも合わせてたんだ。なのに君が抜け駆けをッ!!」


「抜け駆けって...」



歯を見せ悔しがる姿は、大人びている彼がぼくとそう変わらない少年であることを思いださせる。...額からの出血を除けば。



「...久しぶりに母から連絡があって、双子の妹がいると告げられたんです」


「ぼくの手を掴んだまま自分語りに入るのはやめてもらえませんか?」


「写真を見て確信した。この子にはぼくと同じ血が流れているんだと」


「手離してくれます?」


「その瞬間、いとおしくてたまらなくなった。変ですよね、一度も会ったことがないのに」


「貴方の様子が一番変ですよ」


「あの子...Aが可愛くて仕方ない。どんな手を使っても、ぼくは彼女を守ってみせる」


いい話に聞こえるが、先ほど彼が机に頭を叩きつけていたのは紛れもない狂気の沙汰だし、ぼくの手はいまだ固く掴まれている。離せ。


「そんなに言うなら、今から彼女の所に行って手でも握ってくればいいじゃあないですか」


「...確かに」


ぼくの言葉に大きく目を見開き、彼は廊下へ飛び出した。



ようやく振りほどかれた手を抑え、ぼくは呟く。



「...我らがジョジョがシスコンすぎる」

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あさはか金魚(プロフ) - 面白い!こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます!! (2020年8月2日 10時) (レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます!最初にコメントくれた方ですよね?ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります! (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです!31話からもうわくわくでした!頑張って! (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです! (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます!作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月3日 4時

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