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「はじめましてミスタさん。汐華Aです」


ジョジョに連れられて来たAは深々とお辞儀をする。顔をあげると、ジョジョによく似た顔がにっこりと笑みの形を作った。



「兄さんからお話は聞いています。私の荷物、貴方が見つけてくださったんですよね?もう戻ってこないって諦めてたので嬉しいです。本当にありがとうございます!」


「そっか、そりゃあ良かった」



Aの話すイタリア語はとても流暢で、数ヶ月前まで日本で暮らしていたとは思えない。

ミスタも驚いたようで、言葉少なにまじまじとAを見つめる。すると、何を勘違いしたのかAは居心地悪そうに縮こまった。



「あっ、つたないイタリア語でごめんなさい。まだまだ勉強中で…」



「いや、逆だ。あんまり上手に話すもんだから驚いちまったぜ。すごいな妹さん」



「そうでしょう、Aはとても賢い子なんです。流石はぼくの妹です」


まるで自分のことのように誇らしげなジョジョだが、彼女にイタリア語を教えたのはぼくだし、むしろ彼は突然やって来て勉強会をお茶会に変えてしまう迷惑な人である。仕事をサボるな。


ぼくのささやかな不満はさておき、ミスタとAの初対面は思いの外和やかな雰囲気で進んでいる。


この通り、Aは穏やかな女の子だ。ミスタのらしくない疑心暗鬼も晴れたのだろうか。



「──ところでアンタ、ずいぶんとジョルノに甘やかされてるんだってな。優しいお兄ちゃんが出来て嬉しいか?」


「はい。いつも親切にしてくれて……兄さんはとても優しい人です」


「優しい人、ねえ……なあ妹さんよ、ジョルノのことをどう思ってるか、もっと詳しく教えてくれねえか?」
 


ミスタの口調は軽いものだったが、何故か薄ら寒いものを感じた。表情の読めない漆黒の瞳が、Aを撃ち抜く。



不穏な雰囲気を感じとってか、ジョジョはおどけたように笑う。(この人はAが絡むと途端にポンコツに成り果てるので何も分かってない可能性もあるけれど。)


「やめましょうよ、照れるじゃあないですか。それに万が一Aに嫌いなんて言われてしまったら、ぼくはショックで泡を吹いて気絶してしまう」



「カニですかあんたは」



「おいおい、オレは妹さんに聞いてるんだぜ?二人とも黙ってろって」




そして、ぼくは気づいてしまった。



──妹さん。


ミスタはまだ、Aの名を呼んでいない。

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あさはか金魚(プロフ) - 面白い!こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます!! (2020年8月2日 10時) (レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます!最初にコメントくれた方ですよね?ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります! (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです!31話からもうわくわくでした!頑張って! (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです! (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます!作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月3日 4時

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