0-3 ページ3
.
私がそう言うと、目の前のイケメンさんは大きな目を見開いて、私に縋り付いてくる。
「俺のことほんまに分からんの？ 俺はずっとAのこと待っとったんよ？」
ついにはうるうると涙目になって、今にも涙が溢れそうになっている。
流石にこんな表情をされては私の良心が傷つくので、そろそろ勘弁してあげることに。
「…ふふっ、嘘だよ。泣き虫なのは変わってないね、志麻くん？」
私がそう言えば、今度はポカーンと口を開けたまま固まってしまった。
表情がコロコロ変わるところも変わっていないみたい。
「…っあー！ほんっまに焦ったんやけど！」
「意地悪してごめんね？」
私がそう言って志麻くんの顔を覗き込むと、志麻くんはヘロヘロと座り込んでしまった。
ちょっと驚かせすぎちゃったかな？
「まーしぃのこと覚えとるってことは、もちろん俺らのことも覚えとるやんな？」
「もちろんだよ、センラくん。」
私の答えにセンラくんは満足そうに微笑んだ。
「…おかえり、A。」
「ただいま、うらた…さん？」
「なんで俺だけさん付けなんだよ」
「なんか、すっごい大人っぽくなってるから…？」
私の答えに、うらたさんは「なんだよそれ」と笑っていた。
あ…笑った顔はあんまり変わってないかも。
「さてはうらたん、自分だけさん付けで寂しいんとちゃうん？」
「うらさん結構寂しがりやもんな〜」
「うるせぇぞお前ら。」
私たちの会話を聞いていた坂田とセンラくんがうらたさんにちょっかいをかける。
そしてそれを私と志麻くんが見守る。(たまに志麻くんも参加する)
懐かしいこの光景に、私は本当にこの街に帰って来たんだという実感が湧いてくる。
そんな風に私が1人感傷に浸っていると、思い出したようにうらたさんが口を開いた。
「あ、そう言えば俺たち今日からここ住むから。」
「…へっ！？」
いやいやいや！
聞いてないんですけど！？
「あれ、聞いてない？おじさん言っとくって言ってたんだけどな…。」
「全くもって聞いてないです…」
そう答えつつ、私は頭を抱えた。
あの両親はこういう所でいい加減なんだから…！
「とりあえず、」
そんなこんなで、幼馴染とは言えイケメンの男子4人との共同生活が始まりました。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：な | 作成日時：2023年7月4日 0時
