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坂田に中に入るように促されて、気がついた。
「なんで坂田が私の新居に…？」
「あれ！？おじさんから聞いとらん？」
私の言葉に、坂田は私を振り向いてそう言った。
そうして、拙いながらも私に丁寧に説明してくれる。
「お父さんが言ってた呼んだ人っていうのは坂田だったんだ…」
それなら早く言ってよとも思うが、今ここで文句を言ってもしょうがないので我慢する。
しかし、そんな私の言葉に坂田は再び反応した。
「いや、呼ばれたんは俺だけやないで？」
これを聞いた私の反応を見た坂田が「ほんまになんも聞いとらんのやな…」と呆れたようにため息をつく。
果たしてそのため息は私に対してなのか、はたまた私の両親に対してなのか。
「とりあえず、リビング行こか。見たらAもすぐ分かると思うで。」
坂田のその言葉に、とりあえずは頷いてついて行くことに。
ついていくと言っても、リビングは玄関を少し進んだところにあった。
リビングのドアの前に来て、私が開けるのを躊躇っていたのに気を遣ってか、坂田が開けてくれた。
「Aきたで〜」
坂田がそう言って開けた先には、多種多様なイケメン3人が、各々寛いでいた。
そのイケメン3人はバッと一斉に私の方を見た。
そして、真っ先に口を開いたのは泣きぼくろが特徴的な紫髪のイケメン。
「A！久しぶりやな〜！昔も可愛かったけど、さらに可愛なったな〜！」
そういう紫髪のイケメンさんだが、チラチラとなぜか私の太ももを見ている。なぜ。
しかし、残念ながら私は彼らのことは知らない。
坂田みたいに忘れているだけかもしれないし、まずは自己紹介を求めることに。
「えっと、お名前聞いても良いですか…？」
私がそう問うと、先ほどまでニコニコと私を見ていた紫髪のイケメンさんは固まってしまった。もちろん、後ろの2人のイケメンも。
ただ1人、私の後ろに立っていた坂田だけ吹き出していた。
3秒ほど固まっていた目の前のイケメンさんは、ハッとしたように再び動き出した。
「ほ、ほんまに俺のこと分からんの？ あんな約束までしたんに？」
そういうイケメンさんに、なんだか坂田に似た物を感じた。
坂田とは種類の違うイケメンだと思ったけれど、こんな所は少し似ている。
その反応が面白くて、可愛くて、私の中の意地悪な心が顔を出した。
「…ごめんなさい。思い出せそうにないです…。」
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作者名：な | 作成日時：2023年7月4日 0時
