チューベローズ【usss】 (ページ9)

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“そんな悪い口には、お仕置きが必要だな…？”

そう言って私に近づいてくる浦田先輩に、反射的に目を瞑ってしまった。

しかし、しばらく待っても思っていた衝撃は一向に来ることはなく。
恐る恐る私が目を開けると、目の前には綺麗な浦田先輩の顔があった。

「！？」

「なに、その顔。
もしかして、キスでもされると思った？」

浦田先輩は、ニヤニヤしながら「残念」と言って私にデコピンをした。

「痛っ…！」

「悪いけど、俺らはお前みたいなガキを相手にするほど飢えてねぇから。」

「安心しろよ」と鼻で笑って、浦田先輩は生徒会の書類がまとめられている棚の方に向かっていった。

…なんなの！？
初対面の相手にあんなことするなんて…！

私が浦田先輩に対して初めて抱いた感情は “苦手” だった。

そんな私の雰囲気を察したのか、折原くんが話しかけてくれた。

「うらたんはああ言ったったけど、気にせんでええからね。
あと、引き継ぎ作業は俺が教えたるから一緒にやろか？」

「ありがとうございます、折原くん。」

私がそういうと、「いえいえ」と微笑んでくれた。

「あ、俺のことは “折原くん” やなくて “センラ” って呼んでくれん？
同い年やし、これから1年間一緒に活動していくわけやから。」

「分かった、センラくん。」

私の言葉に満足したのか、「よくできました」と私の頭を撫でてくれた。

センラくんは、同い年なのにどこか大人っぽくて、何を考えているのかいまいち分からない。

これが、私がセンラくんに対して初めて抱いた感情だった。

それから、私はセンラくんに教わりながら作業を進めていた。

ふと、顔を上げてみると、生徒会室のソファに寝っ転がりながら漫画を読んでいる坂田くんと、黙々と仕事を進めていく浦田先輩の姿が見えた。

「あの、月崎先輩は…？」

「まーしぃなら、また女の子の所ちゃうかな？」

私の疑問に坂田くんが答えてくれた。

それにしても、「また」って…

そこで、入学式の月崎先輩や、生徒会室に入ってきた時の月崎先輩を思い返してみた。
女の子達の声援に軽く手を振って答えていたり、私に対しても似たように手を振ってきていた。

そして、坂田くんの言葉。
月崎先輩は、いわゆる “女好き” というやつなのだろう。

軽薄で、掴みどころのない人。

これが、私が月崎先輩に対して初めて抱いた感情。

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