2-1 生徒会役員 ページ7
.
兎に角、行くように言われたからには行くしかない。
生徒会室は学園の別棟にあるので、行けばわかるとのこと。
しばらく歩いていると、“生徒会室” と書いてある扉を見つけた。
「ここだよね…？」
とりあえず、扉をノックしてみる。
しかし、中から返答などは何もない。
不審に思った私は、扉を押してみようとした。
「いっ…！？」
すると、ドアノブに触れた瞬間、ビリっとした痛みが私の手に伝わった。
そこで、私は“花浦学園の生徒会室は生徒会役員しか入れない”という噂を思い出した。
これは私の憶測でしかないが、生徒会役員以外を入れないために、生徒会役員のみが知るパスワードのようなものがあるのだろう。
しかし、私はそれを知らない。
どうしたものかと扉の前で唸っていると、後ろから声が聞こえた。
「あ！ここにおった！」
その声がする方を向くと、どこか見覚えのある赤髪の男の子が。
「あれ？もしかして俺のこと覚えとらん！？」
そう言って、彼は少し悲しそうな顔をした。
その顔がなんだかとても可愛らしくて、記憶を掘り起こしていく。
「…あ。」
「思い出した！？」
「えっと、坂田くん、だよね…？」
「生徒会庶務の。」私がそう付け加えれば、坂田くんは首が取れそうなほど頷いていた。
…なんだか犬みたいな人だな。
「あ！うらさん達に連絡せな…」
そう言って坂田くんはスマホを取り出して、誰かに電話をし始めた。
「…おん。生徒会室の前におったわ。
先中入っててええよね？」
そんな彼の話し方から、薄々勘付いてはいたが、確信に変わった。
だとしたら、とても申し訳ない。
冷静に考えてみれば、1年生の生徒会長だなんて生徒会室は分からないと思うだろう。
己、一ノ瀬先生め…。
私が密かに一ノ瀬先生を恨んでいると、坂田くんは電話が終わったのか、私に向き直った。
「うらさん達も今から来るって。
とりあえず、先に中入って待っとこ？」
坂田くんはそう言って、生徒会室の扉の横にある謎のタッチパネルを操作し始めた。
「これにパスワード打ち込んで、中に入るんよ。
一応、このパスワードを知ってるのは俺ら生徒会と顧問のそらるさんだけ。」
「まぁ、そらるさんはあんま来おへんけど。」そう言って坂田くんは華麗にタッチパネルを操作して、生徒会室の扉はあっという間に開いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：な | 作成日時：2023年3月18日 5時
