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発表を未だ受け入れられていない私に浦田さんは淡々と言葉を告げる。
「生徒会長は舞台の上へ登壇してください。」
その言葉に、私は慌てて立ち上がる。
しかし、そのまま動けなくなってしまい、横に座っているくろちゃんに、肘で突かれた。
「ほらAちゃん、早よ行き。」
「あ、うん。」
そう頷いてしまった手前、動かずにはいられず、とりあえず舞台へ進んでいく。
周りの人からの視線が刺さるが、振り返ったら終わりだと思って進んでいく。
私が舞台の下まで来ると、生徒会庶務として呼ばれた坂田くんが手を振ってくれた。
再び刺さる視線に耐えながらゆっくりと階段を登っていき、舞台の中央へ行く。
「それでは生徒会長、何か一言お願いします」
一言！？
まさかそんなことを求められると思わず、困惑していると、浦田さんに早くしろと言わんばかりの目を向けられる。
ここまで来たんだ、覚悟を決めないと…
「…この度、生徒会長になりました。1-Bの月下Aです。
この1年間、生徒会長としてよろしくお願いします。」
私はそう言って頭を下げた。
正直、そこから先はあまり覚えていない。
自分が生徒会長に選ばれたという事実を受け入れきれなかったのかもしれない。
気がついたら入学式はおわって、私は教室に戻ってきていた。
「それじゃあ、改めて。
このクラスの担任の一ノ瀬彼方です。」
そう言って自己紹介をしたのはうちのクラスの担任になった一ノ瀬彼方先生。
どこか気怠げだが、肌が白くとても綺麗な顔立ちをしていた。
そんなイケメン先生に、クラスの女の子達は短い自己紹介には不満を持ったらしい。
「他に何かないんですかー？好きな事とか！」
「好きな事ね〜
まぁ、空を見ることが好きかな。」
一ノ瀬先生はそれだけ言って、あとは言う気はないのか、HRを進めていった。
その後、一通りの話も終わり1日目は終わった。
折角だからくろちゃんと帰ろうと思い話しかけようとすると、一ノ瀬先生に声をかけられた。
「生徒会長〜」
一瞬自分のこととは思わなかったが、すぐに数時間前のことを思い出して振り返った。
「なんですか？」
「今日、帰る前に生徒会室寄ってって〜
色々引き継ぎ作業とかあるから。
あと、一応生徒会の顧問俺だからよろしく。」
一ノ瀬先生は、それだけ言って「よろしく〜」と言って職員室へ消えていった。
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作者名：な | 作成日時：2023年3月18日 5時
