1-1 入学式 ページ4
.
校門をくぐって少し先に、色とりどりの花で飾られた昇降口が見えてきた。
そこにクラス分けの表が貼ってあるのか、人だかりが出来ていた。
私も見ようと近づいた時、身長が小さい女の子が後ろでぴょんぴょん跳ねているのに気がついた。
「あの…大丈夫ですか？」
「あ、すまんわし邪魔やったよな」
そう言って彼女は立ち去ろうとしたので、私は慌てて彼女を引き止めた。
「あっ！大丈夫ですよ。
クラス分け、見たいんですよね？私が代わりに見ましょうか？」
「ホンマに！？
いや〜正直見えんくて困ってたから助かるわ！」
そう言って微笑む彼女が可愛らしくて、つい頭を撫でてしまった。
てっきり振り払われると思っていたが、以外にも彼女は私の手に擦り寄ってきた。
彼女のその行動に驚いて手を離してしまった。
「すっ、すみません…
あの、お名前を聞いてもいいですか…？」
「ああ！そういえば言っとらんかったな！
わしは黒木棗！気軽にくろちゃんって呼んでな！」
彼女の名前を聞いて、少し背伸びをして前にある表を見る。
ついでに自分の名前を確認するのも忘れずに。
「黒木さんは…B組ですね。あ、私と一緒…」
私が小さく呟いた声も聞こえたのか、彼女は目をキラキラ輝かせて私を見る。
「ホンマに！？良かった〜
新しく友達できるか不安やってん！早速1人目できたな〜♪
あ、美人さんはなんて名前なん？わしだけ言って聞いとらんかった」
「あぁ、ごめんなさい。
月下Aって言います。黒木さんこれからよろしくね。」
黒木さんの「美人さん」という言葉に首を傾げつつ、私も自己紹介をした。
早速2人で教室に行くことになり、その道中でお互い「くろちゃん」「A」と呼ぶことが決まった。
教室についてしばらく待っていると、昨年の生徒会役員らしい3年生の先輩がやってきて、私達を誘導して体育館まで連れてきてくれた。
運命の入学式が始まるまで、あと数分＿＿＿
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：な | 作成日時：2023年3月18日 5時
