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幻影と残り香:Shota.W ページ31
—You side—
大好きだった恋人のあなた
いつしか求め想う気持ちが
当たり前になって
疎かになって
互いに辛いだけになってしまった
だから彼とは､
——————————————
彼が最後にくれた携帯のメッセージ
—家にある俺の物､
全部捨てていいから—
彼らしい簡潔な連絡
真っ新に戻らなきゃね
一人ぼっちの
静かになった部屋を見渡す
私が身につけるには
ブカブカなスウェットとサンダル
かっこいいあなたに
よく似合ってたお洒落なピアス
私の我儘を聞いて
お揃いで買ってくれたマグカップ
あなたがいっつも
大事にしてた化粧品たち
この部屋には
あなたの幻影がこんなにたくさん
全部があなたとの思い出
——————————————
「俺､本当にAのこと好きだった」
「もう俺のことは忘れて､元気でな」
——————————————
あぁ､彼と､
本当にお別れしちゃったんだ
あんなにやさしい声､
やわらかな笑顔
こんな形で見るなんて思うわけない
忘れるなんて､
出来るわけないじゃん
本当はだいすきで居たいのに
翔太が居ないと､なんにも楽しくないのに
どうしていれば
笑い合えてたのかな
そんな過ぎた事を思いながら
私はまだあなたの幻影に縋る
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作者名：時雨 | 作成日時：2024年1月1日 22時
