❄︎ ページ46
家に帰って紙袋を開けてみると中には
一口サイズの丸いミニドーナツが
お洒落な包装にたくさん入ってた
ドーナツ､美味しそう
多分Aさんは本当に
“お礼”って意味で作ってくれたんだろうな
「いただきます………!」
ドーナツの中にチーズやチョコレート
ひとつひとつがぜんぶ違う味で
すごく手間を掛けてくれたのが分かった
俺にこんな手間掛けることないのに
でも美味しいのは本当で
俺はすぐにそれを食べきってしまった
「俺も今度お菓子､挑戦してみようかな」
なんとなくそう思って
空になった紙袋を覗き込むと
まだ何か入ってるのに気がついた
小さなメッセージカード
「ふふｯ､Aさんほんとに律儀なんだから」
彼女の何度目かのお礼を予想して
メッセージカードに目を通す
—お料理を教えてくださって
ありがとうございました
お料理上手でかっこいい宮舘さんに
私の気持ちが伝わると嬉しいので
ドーナツを､作ってみました—
——————————————
『…す､ｯ好きな人が､いて……
その人がお料理､上手だから……』
——————————————
もしかしなくてもあれは､
「……俺のことを言ってた､のか」
まさか隣で自分のことを
話してるなんて思いもしなかった
思い出してじんわりと顔が熱くなる
どうしようもなく嬉しくて心が高鳴る
ドーナツ､食べちゃう前に気付けば良かったなぁ
「やっぱり今から作ろう､お菓子」
今度なんて言わず今すぐに
俺も君の気持ちにお返事をしたいから
そうだな､
ふわっとおいしいマフィンなんかを贈ったら
きみはは喜んでくれるかな
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作者名：時雨 | 作成日時：2023年11月27日 15時
