【マギ】逢いたいが情、見たいが病。【短編集】

嫌よ嫌よも好きのうち。【練白瑛】 ページ15

気高く賢い第一皇女。練白瑛という女は、そんな人間だった。

まあ妻にするのは申し分ないと思い、さっそく口説きに行った、のだが。



「有り難いお話ですが、お断りさせて頂きます」



まあこうもはっきりと断られてしまうと、驚愕と悲しみで少し落ち込む。



「妃にしてやると言っているのに、何が不満なのだ」

「…その強引さです。嫌と言ったら嫌なのです」



この頑固さは一体誰に似ているのだろう。頑なな断りに本当に心が折れそうだ。この心折設計はいらなかった。本気で嫌がっているのならやめようと思い、「邪魔したな」と言い放って身を翻した。途端、くん、とつんのめる。衣服の端を掴まれていたのだ。



「…何だ。嫌ではなかったのか？」

「ぇ、……あっ」



ほぼ無意識だったらしい行動に、白瑛が頬を真っ赤に染める。何だ何だ、結局嬉しいのではないか。目を細め怪しく笑うと、彼女の白く細い腕を引き、自分の腕の檻に閉じ込めた。



「愛い奴ではないか」



耳元で吹き込むように囁くと、白瑛は頬を染めたまま、今にも泣きそうな声が入り混じった様子で言った。






「こうなると思ったから、…だから、嫌だったんです」









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嫌よ嫌よも好きのうち。

(いやと言う割に、心臓の方は素直である)

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