将を射んと欲すればまず馬を射よ。【青瞬】 ページ11
自分とは、限りなく遠い人だと思った。
生温い風を頬に受けながら、馬を走らせている。蹄の音が軽く響き、野草を掻き分けて進んでいく。平凡と言われている彼女が唯一得意とするのは馬術だった。
「貴方は走らないの?」
振り向きざまに問われ肩を震わせた。夕日に照らされた顔がとても綺麗で、本当はこんなに美しい人なのに、皆は何故気が付かないのだろう、と不健全な思いを抱く。
「…ご一緒しても宜しいのですか?」
「もちろん。一人では寂しいの」
だからお願い、と目が細められる。この人が自分のものになってくれやしないかと待ちわびている。臆病な自分には出来ない事だ。
どうしたら、この人は振り向いてくれるだろう。
どうやったら、この人はこちらを見てくれるだろう。
どうすればいい?
あ、分かった。
忠誠心の強い彼女のことだ。自身の主君が大変なことになっていると知れば、何かも投げ出してくれるやもしれない。武器も持たずに。
そうと決まれば、さっそく準備をしなければ。下調べをした後は、彼女が信頼する周囲から全てはぎ取って行こう。縋るべき砦が自分しかいないように。
ふふ、と静かな笑みを浮かべる僕に、彼女は不思議そうに首を傾げて見せた。
.
将を射んと欲すればまず馬を射よ。
(四方八方を囲んで塞いで。そしたら僕だけの君が完成する、よね)
文は遣りたし、書く手は持たず。【マスルール】→←色の白いは七難隠する。【シャルルカン】
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乙姫*マギ三期応援(プロフ) - 鶸笹さん» 頑張ります〜(*´∇`*) (2015年9月24日 17時) (レス) id: dc21552bce (このIDを非表示/違反報告)
鶸笹(プロフ) - 乙姫*マギ三期応援さん» 大きくなるのが楽しみですね!無事にご出産できるのを祈っております〜 (2015年9月24日 16時) (レス) id: c6792bebe5 (このIDを非表示/違反報告)
乙姫*マギ三期応援(プロフ) - 鶸笹さん» まだです!w (2015年9月24日 16時) (レス) id: dc21552bce (このIDを非表示/違反報告)
鶸笹(プロフ) - 乙姫*マギ三期応援さん» 性別わかりましたか〜? (2015年9月24日 16時) (レス) id: c6792bebe5 (このIDを非表示/違反報告)
乙姫*マギ三期応援(プロフ) - 鶸笹さん» ありがとうございます(*´∇`*) (2015年9月24日 16時) (レス) id: dc21552bce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶸笹 | 作成日時:2015年6月22日 22時