四十枚目 ページ2
冷たくて鋭い刀身が胸の中心を貫いた。痛みはなく、絶命する気配もない。
血液さえ流れることがない。
一瞬のようで、永遠のような時間。沈黙のままの彼の目は、氷のようだ。
何故、そんな眼をしているのか。そんな疑問は、口を開いた彼によって判明した。
「……”それ”の中にいるのは、組織の者か」
組織…？違う。私は私であって、彼等に自我を奪われてなんていない。
恐れなど無かったはずなのに。震える手が刀身を掴む。まだ抜かれる感覚は無い。
あんなにも、強く渇望したことなのに。
「こ、う、えん、さま」
ズブ、更に深く刀が押しこまれる。押しこまれた弾みで、懐に入れておいた短刀に当たり、キィン、と耳障りな音を立てて床へ落下した。それを見た紅炎様が眉間の皺を濃くする。
「…これで俺を殺そうとしたのか？抜け目無いな」
「ち、ちが、」
否定したいのに、何かが胸の奥からこみあげてきて、溢れだしそうで。
咄嗟に口を閉じる。
その分、彼は饒舌に語る。その姿は酷く傷ついたようすで、怒りをぶつける相手がいなくて、その淀んだ感情をずっと己の中にとどめているようだった。
私を睨みつけている瞳は、憎しみと愛しさが混ざり合っているように見えた。
「俺を侮辱するのも大概にしろ。何の権利があって貴様らは、Aの…」
そこまで聞いて理解した。彼は、私の身体が組織に乗っ取られていると思っているのだろう。
「あの女の仕業か？」
忌々しげに彼が呟く。あの女、とは。
.
.
.
「あの女、なんて…随分な言い草じゃないの」
薄く紅がひかれた唇が持ち上がる。
「ああ、紅炎。その娘を、自らの手で殺すつもりなのね？」
___________________練玉艶。
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ゆみ - 再開されるんですね 楽しみにしています まずは受験お疲れ様でした そして御入学おめでとうございます いろいろ大変でしょうけど無理しないでゆっくりでいいので更新頑張って下さいね (2017年5月20日 11時) (携帯から) (
レス) id: a64fcc18a2 (このIDを非表示/違反報告)
(自称)一流アサヒナー(｀・ω・´)ｷﾘｯ(プロフ) - 前からずっと星屑さんの綺麗で素敵な表現や文章が好きで読ませて頂いていたので、更新再開とても嬉しいです！ これからも応援しています！ (2017年4月2日 10時) (レス) id: 29a5d6e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - はじめまして！マギに再熱し、紅炎という需要があるのかよくわからないキャラの沼にはまってしまい、干からびそうになっていたところを助けられました…オリジナル設定も素敵ですし、文章も読みやすく楽しめます(*'ω'*)続きがあるなら私も読みたいです！ (2017年1月26日 18時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
みこと - いやー泣きました。とってもおもしろかったです！もし続きがあるならぜひ読みたいです (2016年12月10日 23時) (レス) id: fe80c87bb7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 完結されてないなら続きが読みたいです 楽しみにしていますので更新頑張って下さい (2016年10月11日 19時) (携帯から) (レス) id: a64fcc18a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星屑 | 作成日時：2015年12月30日 18時
