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涼太「そっ、か……。なんかごめんね、困らせちゃって」
A「あ、いえ…………すみません」
涼太「謝らないでよ。大丈夫、変に気使わないで。明日からは普通に元通りね」
A「はい…………」
平静を装って笑いかける。
気を使われないためにも。
涼太「Aちゃんにとってのそういう対象って例えば誰なの?」
それでもついそんなことを未練がましく聞いてしまう。
どうか嫌がられませんように……。
A「うーん、特に誰というのは……」
涼太「気になる人がいるわけではないの?」
A「どうも、自分が誰かとどうこうっていうのはいまいち想像つかなくて……」
そういう対象じゃないっていうか、恋愛に興味がないってこと?
だったら、まだ望みはあるんじゃないか?
しつこい男は嫌われるぞってどこかの誰かが言ってた気がするけど、そんなこと気にしてる場合じゃない。
涼太「じゃあ、俺と付き合うのがいやってわけじゃないんだよね?」
これで少しでも嫌そうな素振りを見せたら、今度こそ諦めよう。
そう思って彼女の返事を待つ。
A「いやだなんてそんな。ただ中途半端な気持ちのまま付き合うのは失礼ですし、片寄くんにはもっとお似合いの人が……」
これは……どっちだ。
嫌がってはいない?
涼太「俺が好きなのはAちゃんだよ。お似合いとかそういうのは関係ない。それに、はじめはよくわかんなくても、付き合ってみたら相手のこと好きになるとかあるかもよ?」
A「そういうものでしょうか……」
涼太「わかんないけど……。でも、それなら1回付き合ってみない?お試しでもいいからさ」
Aちゃんは視線をさ迷わせている。
無理に押すより、一度時間を置いた方がいいのかな……。
涼太「返事は今じゃなくてもいいよ。ちょっと考えてみてよ」
A「すみません、ありがとうございます……」
実はマンションの前の公園には既に到着していたので、俺はそのままAちゃんに背を向けて帰路についた。
こうして俺の一世一代(かもしれない)告白は保留で終わった。
告白できたという満足感と、返事待ちという期待と不安が入り交じった感情。
だからか、俺はAちゃんの様子がおかしいのに気づけなかった。
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なな(プロフ) - さくやさん» コメントありがとうございます!お待たせしてしまってすみません!ゆっくり更新になりますが、楽しいんで頂けるようがんばります! (2016年5月16日 20時) (レス) id: a7057a1863 (このIDを非表示/違反報告)
さくや(プロフ) - おかえりなさい!更新再開、嬉しいです(>_<)ななさんのお話とっても好きです!!楽しみにしてます(*^^*) (2016年5月16日 18時) (レス) id: 5d50bac76b (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 隼月さん» コメントありがとうございます!!werewolfも読んでいただきありがとうございます……!誰か1人気づいていないと今後の展開でちょっと困るので……気づくとしたら小森さんかなと……(笑) (2016年4月29日 2時) (レス) id: a7057a1863 (このIDを非表示/違反報告)
隼月 - Werewolfの作者さんと同じ方でしたか!他の作者さんとは違う作風でとても面白いです!まさかの小森さんだけが気付いているという・・・ (2016年4月28日 20時) (レス) id: 47f734d6ea (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - ありゅさん» 腐女子の方でしたか……!腐ってる方からすると物足りないところもあるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいってください!人狼の方も読んで頂いてありがとうございます!!! (2016年4月23日 16時) (レス) id: a7057a1863 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2016年4月11日 0時