thirty-third ページ36
とりあえず涙を拭いてもらおうと思い、ポケットに入っていたハンカチを取り出した。
「あ、えっと使って、どうぞ。」
「…これ、」
「あっひぉ、汚いよね、使いたくないか。こんなもの出してしまって誠に申し訳ないっす、今すぐしまうのでお許しを…ゑ？」
爆豪くんは高速で私の手元にあった物を奪い取る。彼は目を見開いてそのハンカチをただただ見つめていた。
「爆豪…くん？」
「コレ、まだ持ってたのかよ。」
「え、あ。」
どうやらこのハンカチのことを知っているようだ。これはもともと爆豪くんのものだったのか？
…あ。
だから思い出せなかった？
これは悪魔で私の予想ではあるが、彼が関係していることの記憶は全部消されているのだろう。
「…これのこと、知ってるの？」
「は？」
「私、このハンカチがだれのか、よくわかってないから…、」
「知ってるも何も！！俺がお前にっ…っ、」
勢いよく喋っていた彼だが、また急に口を塞いで、思い詰めたように地面を見つめた。
それから"そっか"と呟いてから、無理に笑って私に言った。
「俺の記憶、…ねぇもんな。」
彼のその一言が、痛いほど心臓に突き刺さった。
続く
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なな - どちゃくそ好みで面白くて一気に読んじゃいました！更新待ってます！頑張ってください！！ (2020年10月31日 22時) (
レス) id: 8b0345eb1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もち米 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/801c5f66811/
作成日時：2018年11月17日 21時
