What I lost.【爆豪勝己】 (ページ35)

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thirty-second ページ35

しばらく沈黙が続いた。
2人で並んで歩いていると、爆豪くんはまた口を開いて喋り出した。

「お前はさ、…昔っから面倒くさがりで、飽き性で、いっつもヘラヘラしてて。なに考えてるかわかんねぇし、頭悪いし。」

「…、」

「でも…他人が困ってたらすぐ助けに行って、…自分のことはいつも後回しにして、…それから、……、」

彼の私を語るその声は、段々と、かすれ声変わっていく。嗚呼、泣きそうなのを我慢しているんだ。無理もない。

もし彼と私の立場が逆だったら、私なら大泣きして、呼吸もままならないだろう。忘れた方より忘れられた方が辛いに決まっている。それに、自分のことだけを忘れられるなんて、そんなの辛いもなにも、あるものか。

なのに爆豪くんは、泣かない。きっと本当に強い人なんだろう。

急に私の隣を歩く足音が、ピタリと止まった。
慌てて振り向くと、彼の目からは大粒の涙が沢山溢れていた。

「なんっ…で、…忘れんだよっ、…」

「…っ！」

「俺は、…っ、」

お願いだから、泣かないで。

私まで泣いてしまうじゃんか。

それに、

貴方の泣いてるところを見ると、

どうしてかわからないけど、

すごく心臓が、

痛くなるんだ。