What I lost.【爆豪勝己】 (ページ30)

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twenty-seventh ページ30

(作者の都合上により、原作とは席順が異なります。爆豪勝己の後ろの席になります。)
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午後の授業は相変わらず眠い。
特に嫌いな数学だ、眠くならない訳がない。

頬をつねり、なんとか遠のいていく意識を繋ぎ止める。黒板に書かれた文字をノートに写すことすら精一杯だった。

「…よし、寝るか。」

・

「おい、水樹。五限終わったぞ。」

「ん、…とろ、ろきくん」

「俺はとろろじゃねぇ。」

寝起きだからか呂律がうまく回らない。
嗚呼、1時間しっかり寝たのか。
寝ぼけながらまなこを擦り、目をパチパチさせてその声の主を見る。

私の彼氏、顔も声も良いって何事ですか。

「あ、おはよう。」

「大丈夫か？…やっぱ、久しぶりの学校で疲れてんじゃねぇか？」

そう言って轟くんは私のおでこに自分のおでこをコツン、と当ててきた。
やめろこの天然イケメン。みんなが見てるぞ、お前の彼女恥ずかしくて死にそうだぞ。

「は、ふょ…へ、平気だよ、いつも眠いし。」

「はふょ？…そうか。ならよかった。」

「グハッ」

反則だ。その不意打ち王子様スマイル。
彼はどこまで私を苦しめさせようとするんだ。
そろそろ本当に心臓発作で死ぬぞ、久しぶりすぎて色々と追いついてないんだぞこっちは。

「水樹、今日一緒にか…「おい、そこ退け。授業始まんだろ。」

「…すまねぇ。」

「轟くん、なんか言おうとした？」

「いや、…」

そう言って轟くんは爆豪くんの席から立ち、自分の席へと向かった。
何か言いたそうにしていたが、なにを言いたかったのだろうか。答えなんてわかるわけがないことを考えながら、彼の背中を目で追う。

「な"ぁ。」

ドスの効いた声が聞こえた方を向くと、予想通り爆豪くんの顔が映った。
その声、どっから出てんだよ。

「…な、なんでしょうか。」

「今日寮まで一緒に帰んぞ。俺日直だから下駄箱で待っとけ。」

「ちょ」

チャイムは、私が喋ろうとしたのを綺麗に遮る。

これは命令？強制なのか？
私に拒否権というものはないのか？

そもそもなんで一緒に帰る必要があるんだ。話があるなら今か、寮に戻ったときにでもすれば良いのに。

…まさか私いじめられる？

「ぅぅう、…う」

「水樹、どうした？」

「…瀬呂クン、私今日が命日なのかも。」

「は？」