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「ほんとアンタは、最低な女だなぁ。」
ハッとして振り向くと、苦笑いした黒髪の女がそこに立っていた。
それが有紗だということに気づくと、レイは少しだけホッとする。
レイ「あーちゃん…。知ってる、自分がやってることが…最低だってことくらい。
でも、いやなんだよ。」
レイ「失敗して、大事な人が離れていくのが。周りのものが壊れていくのが。
…最低だって言われても構わないよ。そっちの方が…マシだから。」
いつも通りの無表情で、声のトーンを一度も変えずに。
有紗「…ん。まぁ、好きなようにしなよ。後悔ないように。レイが最低な女でも、周りがレイから離れていっても、あたしはずっと側にいるから。」
・
昔、キミがあたしにしてくれたように。
・
レイ「ありがと。あーちゃんは優しいね。」
有紗はレイを抱きしめる。そして、ほんの少しだけ笑った。
有紗「でしょ、あたしって超優しい。」
レイ「うん、超優しい…。」
いつもなら、そこでツッコミを入れるのに今日は入れてくれなかった。やっぱりレイは元気がないんだ、と有紗は確信した。
そして今よりも強く、彼女を抱きしめる。
レイ「…あーちゃ?」
・
「レイーー!!!」
声の聞こえた方を振り向くと、そこには東堂が立っていた。いつものウザそうな顔で。
東堂は既に制服に着替えていた。
雰囲気壊しやがって。有紗はこちらに向かってくる東堂を、思いっきり睨みつけた。
レイには絶対に見られないように。
レイ「尽八。なに?」
東堂「帰るぞ。今日寄りたいところがあるんだろ?」
レイ「あ、そうだったね。」
有紗から引き剥がすように彼女の腕を引っ張り、自分に引き寄せて後ろから抱きしめる。
まるで自分の“モノ”とでも言っているかのようだ。
有紗「気持ち悪っ!」
レイ「赤ちゃん返りでもしたの?なんか気持ち悪いね。」
東堂「キモくはないな。」
東堂が真顔で言ったのがあまりにも可笑しくて、「嘘、かわいいよ」とレイは優しく母親のように言い聞かせた。それから手を回して東堂の頭をゆっくりと撫でた。
レイ「鞄取ってくるから待ってて。すぐ戻る。」
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もち米太郎(プロフ) - しおらんさん» コメントありがとうございます!!東堂めっちゃ好きで勢いで作っちゃいました笑行き当たりばったりの思いつきの話なので本当文才ないですけど今後も頑張りますんで今後もよろしくお願いします! (2018年9月11日 6時) (レス) id: 498205eb8a (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄く面白いです!荒北も好きだけど東堂かっこいいです!早くくっついてほしい!これからハラハラしそうな予感ですが続き楽しみです!頑張って下さい! (2018年9月10日 13時) (レス) id: 097333551a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち米 | 作成日時:2018年8月13日 18時