9話 ページ12
コマ君は納得して声を上げ、マタロウ君もホッとして目を瞑る
友道「でも、驚かせちゃって、悪かったね…」
友道君は申し訳なさそうに、謝って立ち上がった
『(ん?友道の尻ポケットに丸めた本が…)』
友道の尻ポケットに丸めた本を見ながら、私は考えていると……
ポスターのグロサワアキオ監督のポケットにも同じのが入っていたことを思い出した
『(そうだった!)友道君、ついてきて!』
友道「え……ちょ…」
私は友道君の腕を引っ張って、"あの人"の所に連れて行く
____
[映画舘]
アキオ「嘘だろ……友道じゃないか!!;」
友道君のことを見て、アキオ監督は驚きのあまり目を見開いている
友道「久しぶりだね……
"あっちゃん"」
私の思った通り、"あっちゃん"とは"アキオ監督"のことだったのだ
アキオ「お前…死んだはずじゃ……」
友道「うん。でも、映画に出たいと思ってたら、こうして……」
友道君にまた会えた事に喜びを噛み締めるアキオ監督は恐る恐る近付く
アキオ「まさか、また会えるとは…」
友道「僕のせいで、卒業制作の映画、ダメになっちゃたんだよね?本当に悪かったと思ってる」
友道君は、アキオ監督に対して俯きながら謝った
アキオ「いや、俺の方こそずっと謝りたかったんだ」
友道「え…?」
アキオ「お前が事故で亡くなった事で、無限増殖ゾンビーズは呪われた未完の映画として話題になり、
それがキッカケで俺は今では"グ ロ映画の巨匠"とまで言われるようになった
…ただ結果として、お前の不幸を利用して成功したような形になってしまったんだ…」
申し訳なさそうな顔をしていたアキオ監督に向かって、友道君は笑いかけた
友道「…なんだ!そんな事は謝まる必要ないよ
僕は、あっちゃんが有名になってくれて本当に嬉しいんだ!」
アキオ「え?」
友道「むしろ、グ ロ映画の巨匠にたてたなんて誇らしいよ!」
アキオ「友道……」
微笑んでいる二人を見て、私とジンペイ君達も微笑む
友道「これで、気が済んだよ
でも、無限増殖ゾンビーズ、完成させたかったなぁ……」
________
[Y学園の体育館ホール]
「グロサワアキオ監督、ありがとうございました!」
拍手が響いているホールの壇上に立っていたアキオ監督は、講演会の初まりの言葉を終わらせると、
ホールの1番後ろの椅子に座っていた友道君の横に腰かける
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作者名:スタースト | 作成日時:2021年9月4日 6時