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ステージを降りた彼女は
遠目から見てもぐったりしていて
出来ることなら今すぐに
自分の元に引き寄せて
目を塞いで
耳をとじて
青白い肌に触れて
Aの全てを包み込んで
大丈夫
そう言って
俺は君に縋り付きたい
.
NJ「行くぞ」
JK「も、ちょっと」
HS「ヒョンが呼んでる」
式典も終わり
アーティストはそれぞれ席を立って裏に戻る
Aをチラリと見たらまだ座っている様子
何かの弾みで、タイミングで
話しかけられたら
そう思ったら俺はマネージャーのヒョンに呼ばれていてもメンバー達に声を掛けられても粘ってしまいたくて、じっと、彼女の方を見てしまう
JM「……行くよ」
TH「諦めなって」
HS「ほら早く進んで」
俺のせいで後ろがつまるからヒョン達が背中を押す
行きたくない
何度もそう思っては足に力を入れて踏ん張って
ヒョン達が呆れて俺の背中を叩く
でも、もう
それもそろそろ、やめにしないと
ヒョン達が怒る前に
俺を無理矢理立たせる前に
だけど
Aと目が合ったら
どきどき
期待ばかりが胸を高めて
やっぱり、
俺は動けないまま
.
JK「ぇ、」
YG「……なにあの女」
JN「仲良いの？」
Aが席を立つ
その時、俺も少し腰が上がって
彼女の方へ無意識に体が動いた時
Aの隣にいた人が
俺を見てニコリ、
満面の笑みを見せた
自分から素っ頓狂な声が出たのをヒョン達は見逃さずにいて、コソリと口々に彼女のことを話す
Flownのエリナさん
Aの後輩で
Aの新しいアカウントを教えてくれた人
なんか細胞レベルで苦手
多分嫌い、無理
生理的に受け付けない女
「ジョングク先輩っ！」
JK「はっ…？」
こんな時に俺の名前を呼ぶとかなに？
ずっと目を合わせたかった張本人の冷めた目が刺さる
Aの見下したような視線
一瞬の出来事なのに俺には色濃く残る映像
「ジョングク先輩！！」
「へへっ、ジョングク先輩ー！」
彼女は俺の前から消える
代わりに
嫌いな女が、俺を呼ぶ
呼び続ける
ジョングク先輩
おぞましい
あの女の全てが。
逃げるように席を離れた
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作者名：たんぽぽ
| 作成日時：2020年12月7日 20時
