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「落雷以前はどうだろう？職業であったり、日常の些細なことでも構わない」
「そう、ですね…会社勤めの、普通のOL……あ、いや。歌とかゲームに関わる仕事だったかも…？」
「…残された手がかりは名前と、その身に着けている黒い仮面。普通のOLは着けないようなそれを、意識がない中でも肌身離さず大事そうに持っていたんだ。もしかしたら商売道具のひとつだったのかもしれないね」
「仮面？…あぁ、ほんとだ。この拘束はなんですか？」
「落雷の衝撃の影響か、体が痙攣して暴れてしまったんだ。よくあることでね…申し訳ないがこのように対処させてもらった」
「あー…なるほど。そういうことだったんですね」
「すまないね…そして欠けたその記憶を取り戻すのに三日間検査が必要だ。その間、ここに入院してもらう」
「わかりました」
「…君はこの状況に対し随分冷静だね。私に対し不信感であったり、警戒などはないのかい？」
「え。あぁ…頭がぼんやりして思考が回らないっていうのが大半ですけど。なんとなく、信じてもいい人なのかなぁと」
「…そうか。君の期待に応えられれるよう、最善を尽くそう。ではさっそくだが、記憶を取り戻すためにお話をしよう…───」
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───────…
囚人のジレンマ
「──では同時に答えよう…せーの、」
「自白」「自白」
「自白か。差し支えなければ選んだ理由を聞いても？」
「うーん…刑期年数がどうこうよりは、黙秘し続ける方がストレスになりそうで嫌かなって」
「ほう…年数が長くなるか短くなるか、ではなくその行為自体を重視しているのか。私が黙秘を選ぶ可能性などは考えたかね？」
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作者名：にゃむ吉 | 作成日時：2022年6月11日 16時
