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「──蓮さん！」
「久しぶり、元気にしてた？」
「はい！お陰様で」
「それは良かった。…で、後ろのおっさんは何で居るのかな？」
「暇だから」
「…だそうです」
「…素直に手伝いに来たって言えばいいのに」
新居の最寄り駅で合流したのは随分と久しぶりに会うイケオジ。にこやかに話しかけてくれる一方で、私の後ろで背後霊のように佇むもう一人のイケオジ。無表情に答える様を面白そうに揶揄し、一行は目的地へと向かった。
────────
──…
「ここにある機材で全部？」
「はい。あの辺はまだ未開封なんですけど、開けてもらって大丈夫です」
「おっけー。じゃあちゃっちゃと仕事しちゃうね」
「すみません、お願いします。私向こうの部屋の荷物解いてるので、何かあれば声かけてください」
そう言い、段ボールが山積みになっている部屋へ去っていく家主。残された俺は辺りを見回し、早速作業に取り掛かった。とはいえ黙々と作業する気分にはならず。BGM代わりとはいかずとも暇つぶしになるものを求め、防音室の隅でスマホを弄るおっさんに視線を移した。
「…それで？カツドウメイちゃんとはどうなの」
「…どうって言われたって、なんもないけど」
「え〜？蛇足の家泊まったって言うから、なんか面白いことあったのかなぁと思ったのに」
「んなこと言ったって…何を期待してんのさ」
「そりゃ勿論、可愛い可愛い"妹"の幸せに決まってるでしょ？」
含みを込めた笑みを浮かべれば、どこか居心地悪そうに視線を逸らされた。何にもないのは分かってはいたけど、ちょっとくらい何かあってもいいのに。
「カツドウメイちゃんって、昔からどこか危なっかしいというか…誰かが見守ってないと不安になるような雰囲気あったじゃない？でも久々に会ったら、随分変わったなぁって」
「まぁ…たしかに」
「それでもやっぱ、こっちでも暮らすのなら誰か近くに居た方が安心するなぁと思ったけど…少なくとも、川村君は適任では無さそうだね？」
「うっせ」
出会った当時の彼女が纏う独特の空気は今でも覚えている。歌声を聞いても、目の前で話してみても、"あぁ、良い子すぎるんだな"とその明るさから伝わってきた。そして一見気づけないからこそ、性質の悪いものだということも。けれどそれは、どうやら時の流れと…彼女を大切に思う人たちによって解決の道を歩んでいるらしい。
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にゃむ吉(プロフ) - nnさん» コメントありがとうございます！分かる人には分かるようなネタを各所に散りばめているので、もしよろしければ引き続き読んでくださると幸いです。 (2023年1月15日 8時) (
レス) id: ba49f73308 (このIDを非表示/違反報告)
nn - 実際の誕生日と一緒なことに驚きました！ そしてお話も面白いです (2023年1月14日 20時) (レス) @page1 id: d2a3e7d3b4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃむ吉(プロフ) - 1さん» コメントありがとうございます。人物名については私なりの意味を込めて名付けており思い入れがあるため、そのような感想をいただけてとても光栄です！これからもまだ伏せているものもありますので、よければ引き続き読んでくださると幸いです。 (2022年3月26日 7時) (レス) id: ba49f73308 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 名前の由来を知ると、これぞ伏線って感じがしてとてもワクワクしました。なるほどなぁとなりました。 (2022年3月26日 0時) (レス) @page19 id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃむ吉 | 作成日時：2022年3月12日 12時
