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「…！」
「…へ？」
思わず二度見してしまうほどの出で立ちに呆けていると、向こうの彼もこちらの気づき…いや、それどころかこちらに向かいずかずかと詰め寄ってきているではないか。先刻の小柄な彼とは異なり物静かではあるものの、むしろその落ち着いた様子と相まってその表情が全く読めない。視線も外せぬまま、刻々と迫ってくる彼へどう声をかけるべきか躊躇していると、不意に傍らから囁き声と共に腕を引かれた。
「──こっちっす」
「え…って、わっ」
「！おい、ショッ…"平和島"！」
『──ろ！！おい聞いてんのか？！』
「っ…？」
再び脳裏を過ぎる声。困惑したまま、ちょうど近くの教室から解放された学生の雑踏に紛れ、腕を掴まれたまま引き摺られるように突き進んでいく。密集した空間に迷い込むと、近づいた匂いに抱く既視感。顔をあげれば予想通り、腕を掴んでいたのは昨日出会った同級生と思しき彼であった。しかし初対面でないとはいえ、会話など一言二言くらいの関係の彼が、どうして先の男性からの逃走を手助けしてくれるのだろう。後ろを振り返れば、件の男性はまだこちらの姿を追いかけているようであった。
「あの、一体どういう…」
「…すみません。嫌かもしれへんけど、少しだけ我慢してください」
「え？」
説明の代わりに届いたのは謝罪のひと言と、身体を包む熱。気づけば私達二人の姿は賑わう空間から分かれた先の廊下、立ち並ぶロッカーの影に身を潜めていた。そして私の視界は彼の胸元が広がり、隠れ蓑にしていたのは彼自身だということに漸く気づく。そのおかげで私達を追う彼の気配は遠退いたようだけれど…密着する空間のせいで繋がらない会話に疑問を抱くより前に、今の状況への理解が思考を埋め尽くしてしまった。
「あ…あの…」
「──あんのクソ先輩、余計な事しやがって…」
「えっ」
「…ん゛んッ、………失礼しました」
「えっと…ありがとう、ございます…？」
「いえ…その、さっきの人。俺の知り合いなんすけど…偶に変な行動するんで、気を付けてください。あぁでも、悪気があるわけじゃないんで…そこだけは誤解しないでもらえると」
「は…はい」
『──…さん、最近喫煙所に顔出さないっすけど…何かありました？』
「…！(また、この感じ)」
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にゃむ吉(プロフ) - 狛狐さん» メッセージありがとうございます！前作の頃も、書いている途中は読み応えのあるものがつくれているのか不安だったのですが、涙する程の作品となったことをとても誇らしく思います。ぜひまたの機会にご感想伺いたいです！今後ともよろしくお願いいたします (2021年11月30日 7時) (
レス) id: ba49f73308 (このIDを非表示/違反報告)
狛狐(プロフ) - 儚さと力強さを感じさせてくれるとても素敵なお話で終始涙が止まりませんでした…今も泣いてます…長々とすみません、、もっと沢山素敵ポイントをお伝えしたいのですが文字数的にもここで我慢しておきます…これからも応援させて下さい。更新楽しみにしております (2021年11月30日 3時) (レス) id: f8a7d6fbdd (このIDを非表示/違反報告)
狛狐(プロフ) - 最初は転生前（前作）の題名に惹かれ読み始めたのですが稀に見る良作過ぎて一気にここまで読み進めてしまいました……文章の組み方や言葉遣い、表現の仕方などがとても心に刺さり1話を何度も読み返してしまうほど大好きです。なによりも内容が素敵すぎる…… (2021年11月30日 3時) (レス) @page21 id: f8a7d6fbdd (このIDを非表示/違反報告)
にゃむ吉(プロフ) - とぴあさん» メッセージありがとうございます！涙流されるほどのインパクトをつくることができ、とても光栄です…まだまだ先は長いのですが、読んでくださった分を無駄にしないよう、より気持ちを込めて執筆しようと思います。引き続きよろしくお願いいたします！ (2021年10月12日 7時) (レス) id: ba49f73308 (このIDを非表示/違反報告)
とぴあ - 一気に読み進めていたら、思わず涙が出てきてしまいました……。自分でもびっくりしているのですが、きっと作者様の文章が素晴らしかったからです。読んでいてこんなに幸せな気持ちになれる作品は初めてです。続編でも更新ぜひ頑張ってください。 (2021年10月12日 0時) (レス) @page5 id: 9545a37ffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃむ吉 | 作成日時：2021年10月1日 17時
