Only Love

＊〜sho side〜 ページ30

廉「Aちゃんな…結婚、してないねん」

紫「…は？」

廉「結婚、してない」

紫「ウソだろ…？」

廉「…ほんま。昨日な、偶然聞いてしもーたんよ。たぶんさっきのヘアメイクの人と話しとるとこ。結婚しとることになっとるんやろ？みたいなことを、あの人が言うとった」

紫「…」

廉「あとな、Aちゃんが免許証落としてて、見たんやけど…名前、小松のままやってん」

紫「…いやでも…なんで…」

廉「それはわからん。でもな…Aちゃんに旦那がおらんのは、間違いない。せやから…紫耀に覚悟あるんやったら…俺は止めへんよ」

紫「廉…」

廉「だって、不倫でも略奪でもないしな？笑」







…結婚してるフリ




そんなこと
なんでしてるのか


なんでしないといけなかったのか…




聞きたいことは、山ほどあった。

だけど…




廉「とりあえず…仕事戻らへん？笑」

紫「…そうだな。笑」






そう、収録は待ってはくれない。



とりあえず仕事を終わらせて…

夕方、ちゃんと話そう







…








収録のときは
さっき喧嘩を売ってしまったあの男も
ずっと、いるわけで…




なんとも気まずい空気での収録だった







AD「一旦休憩はいりまーす」





その言葉と同時に
ヘアメイクの直しが入る





「紫耀、収録間に合ってよかった」

紫「…ごめん」

「ほんとだよ笑」

紫「…」

「…うそ。私が悪いよね。ごめん」

紫「…え？」

「…今の紫耀の気持ちがどうであれ、ちゃんと話すべきだったなって思ってる」





俺の今の気持ち…





「今日、このあと少し時間ある？」

紫「…うん」

「…ちゃんと、話したい」

紫「わかった…」









俺の気持ちは
あの頃と何も変わらない





Aが、ちょっと遅めの初恋の相手で
ずっとAが大好きで
Aだけを、想ってきた






だけど、あの頃と違うのは


"Aに他の男との子供がいる"

という、事実。







つまり

"あの頃と同じ気持ち"でも
"あの頃と同じ覚悟"では

Aとは向き合えない






ただ、好きってだけじゃだめだ。






正直、結婚なんて
いつどうなるのか、わからない。





それでも

他の男との子供を

自分の子供として受け入れる…






その覚悟がないと
Aと向き合う資格すら、ない






まだデビューしたばっかりの俺に
できることなんて限られてる









好きの気持ちだけで
突っ走れる状況は

もう、とっくに終わってしまっているんだ…

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