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重｢きっかけ...?｣
桐｢おん、俺がここに通うようになったきっかけ｣
重｢それが、このデルフィニウム...｣
桐｢そ、俺が一番好きな花｣
｢んーなんか恥ずかしいですね。...照史さんも、デルフィニウムにしますか?｣
桐｢そやなぁ...、久しぶりにデルフィニウム持って帰ろかな｣
｢はぁい、すぐ用意しますね｣
2年前のちょうど今くらい。
ここに初めて来た時に、初めて出会ったデルフィニウム。
花なんて詳しくないし、ましてや買ったことなんてあったやろか、ってくらい未知なもの。
それでもあの時の俺は、確実に《なないろ》それから七海ちゃんとデルフィニウムに救われた。
壊れてしまいそうなくらい繊細なブルーの花が咲いている。
初めて見た時、ギュ、と心が掴まれるような、苦しくなるような...
なんとも言えない儚さを持っている花だった。
重｢照史さんも、何かあったタイミングでここに?｣
桐｢そやね、ちょうど2年前くらいやなぁ。仕事でね｣
重｢俺もです。2週間前に仕事で悩んでることがあって...助けてもらいました｣
桐｢七海ちゃんの言葉って救われるよなぁ｣
重｢わかります! めっちゃ救われました!｣
｢もー、2人ともそんなに大したことしてないんですからやめてください〜｣
桐｢大袈裟じゃあらへんよ!｣
重｢そうっすよ! 俺らにとってはターニングポイントです!｣
桐｢それやそれ! ターニングポイント!!｣
｢ふふ、もぅ、いつの間にこんな仲良くなったの?｣
くすくす笑いながら俺のテーブルに置いてくれたデルフィニウム。
2年前と同じ花瓶や。
覚えててくれたんや、って思って七海ちゃんをみると、にこって笑って
｢忘れるわけない、照史さんとデルフィニウムのあんな素敵な出会いの瞬間を｣
桐｢嬉しいわ、覚えててくれて｣
重｢...、｣
｢もちろん、重岡さんもです。 重岡さんと赤いスイートピーの出会いも、忘れません｣
重｢七海さん...｣
｢それだけ、お花と人の出会いは素敵なものですからね｣
そう言って優しくデルフィニウムに触れる七海ちゃん。
2年前と同じ、表情で見つめる七海ちゃんの顔にあの日から今日まで何度救われ、何度ドキッとしたのか。
正直覚えてへんけど
何度も何度も、同じ思いをさせることが出来るこの子はある意味天才やと思う、今日この頃。
ほんま、ずるい子やわ。
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
