デルフィニウム･シネンシス。 Akito.K ページ25
ｶﾗﾝｶﾗﾝ...
桐｢七海ちゃん、こんばんは〜｣
｢あ、照史さんいらっしゃい!｣
桐｢いつもの〜コーヒーホットで!｣
｢はぁい｣
金曜日、19時すぎ。
世でいう華金。
金曜日は決まってここ、《なないろ》に来る。
今日も相変わらず可愛ええ七海ちゃん。
いつもの、とお決まりの会話をしてから席に着く。
俺が来ると、顔見た瞬間すぐコーヒーの用意をしてくれるから、あーもう常連になれたんやなって嬉しくなる。
席に着いて、店内をぐるっと見渡す。
カフェなのに夕方から営業してるからか、なかなかお客さんが沢山いるのは見たことがあらへんけど...
今日は1人、男性がおる。
あ、思い出した。
桐｢あのぅ、｣
『はい...? あ、えと...』
桐｢やっぱり! 2週前くらいに会いましたよね!｣
『あきと、さんでしたっけ...?』
桐｢そう! 自分記憶力すごいなぁ!? えと...｣
重｢重岡です、重岡大毅｣
桐｢重岡さん! もう覚えました!｣
｢んふふ、照史さん、ナンパですか〜?｣
桐｢なんでやねんっ! ご挨拶や、ご挨拶!!｣
｢重岡さん困らせないでくださいよ〜?｣
桐｢そんな困らせへんよ!｣
｢もう少ししたらコーヒーできますから、待ってて下さいね｣
桐｢ありがとう〜｣
重｢あの、照史さんはよくいらっしゃるんですか?｣
桐｢おん、よぉきますよ! 七海ちゃんのコーヒーが1週間の疲れを全て吹き飛ばしてくれんねんな〜｣
重｢わかります、美味しかったからまた来ようって思って来ちゃいました｣
桐｢住んでるのこの辺なんですか?｣
重｢あ、はい! すぐ近所です｣
桐｢俺もです、だからつい来ちゃうんすよね〜｣
まだ緊張してるのか、少しぎこちない笑顔で返してくれる重岡さん。
ちょいちょい訛っとるから関西の人なんかな。
ここ謎に関西人多いなぁ。笑
ふと、重岡さんの前にあるお花に目がいった。
あの花や、懐かしいな。
桐｢お花、自分で選びはったんですか?｣
重｢七海さんセレクトです。お花わからんけど、前に貰ったのがすごい素敵やったんで...｣
桐｢そうやったんですね、俺もその花好きです｣
重｢えと、名前...｣
｢デルフィニウム、ですよ、重岡さん｣
桐｢お、七海ちゃん｣
｢照史さん、コーヒーお待たせしました｣
桐｢ありがとうね｣
｢いえいえ、ごゆっくり｣
桐｢...懐かしいな、デルフィニウム｣
｢覚えてる?｣
桐｢もちろん、これがきっかけやからな｣
そう言うと、七海ちゃんは照れくさそうにふわっと笑った。
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
