小さな愛の咲く朝［黒］ ページ43
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朝、仕事用の送迎車へ一番に乗り込み
走り出した車の向かう方向に
"まずい"と思った。
だって、次に乗ってくるのは。
「おはよ、A」
「ん、はよ」
大きなワゴン車でこれだけ
席が空いてるのに、隣にストンと座り込み
寝起きから出来上がった
端正な顔立ちでこちらを覗き込んでくる。
「なに、目黒。」
「元気ないっしょ、」
「.....眠いだけだよ」
予想通り、人より少し足りない頭には
その分野生の勘が多く備わっているらしい。
余計なことを口走らないよう窓に額を寄せ
睡眠に専念する。
目黒はいつもどこか鋭いところがあって
それがいつも私や、阿部ちゃんを困らせた。
クールで熱い、そんな対極のものを
彼は一人で持っていたから。
「ねぇ、」
その声に、私はいつも答えられない。
少し頼ったら、きっともっと甘えてしまう。
冷たく振る舞って、あしらっておかないと
本当は弱い私に彼がいつか
離れていってしまうんじゃないかって。
目を瞑ったままそんなことを考える私に
目黒が言った。
「強いときだけ支えるのが
メンバーじゃないから」
薄目を開けて、転がるタイヤと共に
流れる窓の景色を眺める。
突き抜けるほど晴れた空に
眩しい太陽が目頭を熱くした。
どうしてそう優しいのかな。
弱い私は好きじゃないでしょ？
有無を言わさず
グッと引き寄せられた先は彼の肩で。
「こっち寄りかかったほうが楽じゃん」
「......やっぱめぐろきらい」
「なんっでだよ優しくしてんのに」
ふは、と目黒の笑いながら話す振動が
彼の肩越しに伝わってくる。
やっぱりきらいだよ、そういうとこ。
だって目黒と居たら弱い自分も、
たまにはいいかなって思っちゃうの。
・
・
・
「え、なんでさぁめめなわけ？
そこは別に俺でもいいわけじゃん。」
「俺だってAと寝たーい！！」
「2人して何言ってんの」
だからって寄りかかったまま眠って
目覚めてから他のメンバーに
揶揄われたときには後悔した。
隣でニヤつく目黒も
「やっぱ俺のこと好きでしょ」って、
調子乗るな。
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takkimakki(プロフ) - 初めまして！こちらのお話に出会い、引き込まれて読ませていただいています。綺麗な日本語と切ない描写に、大ファンになりました！ (2023年2月17日 9時) (
レス) @page30 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - さん» コメントありがとうございます！更新頻度遅くなってしまって申し訳ないです！！ですが、私の都合上どうしても更新頻度字が偏ってしまうこともあるので、そういった点はご了承いただけますとありがたいです。ご意見ありがとうございます！ (2021年6月30日 1時) (レス) id: c7653d64b7 (このIDを非表示/違反報告)
- こっちも更新してほしいです (2021年6月29日 13時) (レス) id: 7d0243170f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - Ashitakaさん» はじめまして^^ コメントありがとうございます( ; _ ; )お話を書くときはいつも印象に残るような言葉遣いをイメージして描いていたので、そう言っていただけてとってもとっても嬉しいです^ ^ぜひたくさん読んでこの作品に浸っていただけたらなと思います！！ (2021年6月17日 12時) (レス) id: c7653d64b7 (このIDを非表示/違反報告)
Ashitaka(プロフ) - はじめまして、今読んでいる真っ最中なのですが、ラウちゃんの「僕の届かない夜に連れていく」に胸がギュッと苦しくなり、思わずコメントをしてしまいました…。言葉ひとつひとつがとても素敵です。では、続きを読んで参ります…！ (2021年6月16日 15時) (レス) id: ffdf66b49e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作成日時：2021年6月10日 22時
