画面から逃げ出した花嫁［桃］ ページ35
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［大介side］
「今度はなんのアニメ？」
控え室でソファーに座る俺の隣に来ては、
スマホを覗き込むA。
お、なになに。俺の嫁に興味津々なの？
「一緒に観る？」
片耳のイヤホンを渡せば、
隣に腰掛けながら大人しく耳に装着する。
なんか今めっちゃ
少女漫画みたいなことしてるなぁって
やばい、俺めっちゃにニヤけてるかも。
どうにか溢れる笑みを噛み殺して
アニメに集中する。
「この子かわいいね、」
「おっ、Aちゃん
お目が高いでやんすねぇ」
「佐久間の推しはどの子なの？」
「佐久間さんはねぇ今言った子と、
あ、でもこの子もちょー好き！」
Aに嫁の話ができるなんて幸せすぎて
つい饒舌になっちゃう。
だから俺がペラペラと喋る横で、
彼女が眉を顰めてたなんて
ぜんぜん気付かなくて。
「ありがと.....そろそろ着替えてくるね」
「あれ？もう行っちゃうの？」
イヤホンを外すAの声に、
ふと顔をあげて部屋の時計を見るけど
収録まではあと2時間もあった。
...いくらなんでも早くない？
そう声をかけようとしたところで、
Aの表情が目に止まった。
隠し事がバレて ばつが悪そうな。
ねぇ、そんな顔されたらさ。
佐久間さん期待しちゃうよ、いいの？
スマホの電源を落として、
立ち上がる彼女の手を引いて座らせた。
「...嫁、観ないの」
「今はこっちの嫁のが大事」
「一夫多妻の嫁にはなりたくない」
「それはやきもち妬いちゃうから？」
顔には出さないようにしてるけどさ、
気づいてる？
無意識に俺の手握り返してるの。
キュッと力を込める両手が、
生温く彼女の体温を伝えてきて。
可愛いのは二次元の嫁だけで十分なの。
だってさ、こんなに可愛い子が三次元にいたら
俺もうA以外
目に入んなくなっちゃうんだよ？
「一夫多妻制の導入を禁じます」
「えぇっ！？それだけは勘弁してくださいよぉ」
「...うそ、じょーだん。」
さっきまであんな顔してたのに、
彼女の表情がころっと変わる。
余裕ぶった無邪気な瞳に、
掴んでいたはずの手が解けて、
俺のほっぺをむにっと挟みながら
しょーがないって後付けて言うんだ。
「一番じゃなくていいから、
私のことも大切にしてね」
そんなこと言われなくたって、
初めからAは俺の一番だよ。
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takkimakki(プロフ) - 初めまして！こちらのお話に出会い、引き込まれて読ませていただいています。綺麗な日本語と切ない描写に、大ファンになりました！ (2023年2月17日 9時) (
レス) @page30 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - さん» コメントありがとうございます！更新頻度遅くなってしまって申し訳ないです！！ですが、私の都合上どうしても更新頻度字が偏ってしまうこともあるので、そういった点はご了承いただけますとありがたいです。ご意見ありがとうございます！ (2021年6月30日 1時) (レス) id: c7653d64b7 (このIDを非表示/違反報告)
- こっちも更新してほしいです (2021年6月29日 13時) (レス) id: 7d0243170f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - Ashitakaさん» はじめまして^^ コメントありがとうございます( ; _ ; )お話を書くときはいつも印象に残るような言葉遣いをイメージして描いていたので、そう言っていただけてとってもとっても嬉しいです^ ^ぜひたくさん読んでこの作品に浸っていただけたらなと思います！！ (2021年6月17日 12時) (レス) id: c7653d64b7 (このIDを非表示/違反報告)
Ashitaka(プロフ) - はじめまして、今読んでいる真っ最中なのですが、ラウちゃんの「僕の届かない夜に連れていく」に胸がギュッと苦しくなり、思わずコメントをしてしまいました…。言葉ひとつひとつがとても素敵です。では、続きを読んで参ります…！ (2021年6月16日 15時) (レス) id: ffdf66b49e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作成日時：2021年6月10日 22時
