スーツを纏ったお姫様［赤］ ページ31
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今日の衣装は、黒のタイトめなスーツ。
それぞれ淡いメンバーカラーの
Yシャツに合わせて黒のナロータイが
シルバーのタイピンで固定してあって。
足元には真っ白なスニーカーが
上手く外しになって
お高くなりすぎず綺麗に纏まっている。
「なんか今日の舘さん、本当に王子様みたい」
「本当に王子様だけど？」
「はいはい、そうでしたー」
「冷たいなぁ」
隣に並んだ彼にそんなことを呟いても
返ってくるのはどれも夢みたいな言葉ばかりで。
でも私の素っ気ない言葉に寂しそうに笑う顔は
めったに見られない”涼太”の顔。
可愛いって言ったらきっと、
Aの方が可愛いよなんて言われてしまうんだ。
「...ドレスでも着れば
少しはお姫様っぽくなるんだけどね」
スカートなんて、最後に履いたのはいつだったっけ。
そんな記憶は、長い髪の毛と一緒に捨ててしまった。
世の女の子たちが羨ましいわけじゃない。
ただふとした瞬間に、私がこの世界に居なければ
どんな風に生きていたのかなんて考えてしまって。
時々それが、私の首を絞める。
「俺にとってAはずっとお姫様」
ぼんやりとそんなことを考えていたら、
彼の零した言葉にハッと意識が引き戻された。
「ちょっと、急にやめてよ」
「そこはありがとうって言うんだよ」
「....ありがと、」
「ふふ、どういたしまして。」
そろそろ移動お願いします、
というスタッフさんの声に立ち上がれば、
恭しく差し出される手。
国王のお相手に
私がふさわしいかはわからないけれど。
ちょっと気取って、
プリンセスよろしくお辞儀をした。
「ふは、なにこれ」
「今だけはお姫様ってことで」
「...王国に嫁ごうかな？」
「俺はいつでも待ってるよ」
彼といると、スーツが
ドレスに思えてくるんだから不思議。
国王になると魔法まで使えるらしい。
女の子扱いされるのは苦手だけど
彼にお姫様扱いされるのはそんなに
嫌じゃない、かも。
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takkimakki(プロフ) - 初めまして！こちらのお話に出会い、引き込まれて読ませていただいています。綺麗な日本語と切ない描写に、大ファンになりました！ (2023年2月17日 9時) (
レス) @page30 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - さん» コメントありがとうございます！更新頻度遅くなってしまって申し訳ないです！！ですが、私の都合上どうしても更新頻度字が偏ってしまうこともあるので、そういった点はご了承いただけますとありがたいです。ご意見ありがとうございます！ (2021年6月30日 1時) (レス) id: c7653d64b7 (このIDを非表示/違反報告)
- こっちも更新してほしいです (2021年6月29日 13時) (レス) id: 7d0243170f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - Ashitakaさん» はじめまして^^ コメントありがとうございます( ; _ ; )お話を書くときはいつも印象に残るような言葉遣いをイメージして描いていたので、そう言っていただけてとってもとっても嬉しいです^ ^ぜひたくさん読んでこの作品に浸っていただけたらなと思います！！ (2021年6月17日 12時) (レス) id: c7653d64b7 (このIDを非表示/違反報告)
Ashitaka(プロフ) - はじめまして、今読んでいる真っ最中なのですが、ラウちゃんの「僕の届かない夜に連れていく」に胸がギュッと苦しくなり、思わずコメントをしてしまいました…。言葉ひとつひとつがとても素敵です。では、続きを読んで参ります…！ (2021年6月16日 15時) (レス) id: ffdf66b49e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作成日時：2021年6月10日 22時
