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「ねぇしょぉたぁ、もう帰っていい？」
「だめ」
「なんで」
「俺の支度終わってない」
収録終わり、俺の隣で
心底迷惑そうな顔をしているA。
帰りたきゃ先に帰れるのに
律儀に待ってくれているのは
Aの昔から変わらない優しさだ。
私より荷物多いじゃん、って怒るくせに
俺の化粧水を勝手に使ってんのはどこの誰だよ。
「まだぁ？」
「うし、終わった。帰ろ」
「よし、帰ろ！」
楽屋を出てすれ違うスタッフさんに挨拶しながら
隣に並んで歩く姿。
あの頃は同じくらいだった身長も
今では頭一つ分くらい差があるだろうか。
「なんでいつも私待たされてるの」
「男の俺より荷物少ないのが悪い」
つか俺の化粧水勝手に使ったろ、
って問いただせば
「使ってないよ、７回くらいしか」
「いやお前それめちゃめちゃ使ってんじゃん」
ぎゃーぎゃー言い合いながら
ようやく乗り込んだ送迎車。
Aは知らないだろうけど。
嫌なんだよ、もう会えないかもって思うの。
明日になったら俺らの前からいなくなって
その声も、仕草も全部置いて
何事もなかったみたいにいなくなりそうで。
そう思うくらいなら、
嫌になるくらい一緒にいるほうがマシだろ。
「明日何時入りですか？」
「お二人とも同じ撮影があるので13時です」
マネージャーに確認すれば、
隣のAがまた減らず口。
「今日の終わりも明日の始まりも翔太かぁ」
「嫌そうな顔すんなよ、こっちだって飽きるわ」
あの日のホームに戻れたら
俺は精一杯手を振るだろう。
そうしてまた、
Aが嫌そうな顔するのを待つんだ。
もう会えないかも、じゃなくて。
明日もアイツと一緒か、って。
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春は永遠じゃないと云ふ[橙］→←二番線と三番線は交わらない［青］
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takkimakki(プロフ) - 初めまして！こちらのお話に出会い、引き込まれて読ませていただいています。綺麗な日本語と切ない描写に、大ファンになりました！ (2023年2月17日 9時) (
レス) @page30 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - さん» コメントありがとうございます！更新頻度遅くなってしまって申し訳ないです！！ですが、私の都合上どうしても更新頻度字が偏ってしまうこともあるので、そういった点はご了承いただけますとありがたいです。ご意見ありがとうございます！ (2021年6月30日 1時) (レス) id: c7653d64b7 (このIDを非表示/違反報告)
- こっちも更新してほしいです (2021年6月29日 13時) (レス) id: 7d0243170f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - Ashitakaさん» はじめまして^^ コメントありがとうございます( ; _ ; )お話を書くときはいつも印象に残るような言葉遣いをイメージして描いていたので、そう言っていただけてとってもとっても嬉しいです^ ^ぜひたくさん読んでこの作品に浸っていただけたらなと思います！！ (2021年6月17日 12時) (レス) id: c7653d64b7 (このIDを非表示/違反報告)
Ashitaka(プロフ) - はじめまして、今読んでいる真っ最中なのですが、ラウちゃんの「僕の届かない夜に連れていく」に胸がギュッと苦しくなり、思わずコメントをしてしまいました…。言葉ひとつひとつがとても素敵です。では、続きを読んで参ります…！ (2021年6月16日 15時) (レス) id: ffdf66b49e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作成日時：2021年6月10日 22時
