過去の鎖【ウロボロス】

1話　 ページ2

「はいみんな聞いてー！今日はみんなに紹介したい子がいるんだ。こっちにおいで？」
そう言ってあの人は私を呼んだ。くしゃくしゃの笑みで、私を安心させるかのように小さく大丈夫だから、と呟いて。
「今日からみんなの家族になる、AAちゃん！みんな仲良くするんだよ？」
見渡せば、皆笑顔で私を見ていた。
たった一人を除いて。
「僕龍崎イクオ！よろしくね、Aちゃん！」
真っ先に挨拶して来たその子は、人懐っこい笑みを浮かべていた。優しそうな子だった。
「...よろしく、お願いします...」
私が小さく呟くと嬉しそうに笑って後ろを振り返り、彼を呼んだ。
「タッちゃんも！挨拶！」
「...段野竜哉。」
「無愛想だぞ！竜哉〜！」
あの人が段野を捕まえて頭をぐりぐりする。
「いてえ！やめろって結子！」
皆が笑う。
皆が、笑っていた。

....ああ、私はまだ過去に縛られている。

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